前々回に年末調整について書きましたが、その中で読者の方からご指摘をいただいたところがあります。
「配当控除」の記述の中で(投資信託の収益分配金は源泉分離課税なので(配当控除の)対象外です。)と書いたのですが、実はこれはすべての投資信託に当てはまることではありません。誤解を受けるような書き方をしてしまい、申し訳ありませんでした。

投資信託の収益分配金というのは、決算日における運用益から経費を差し引いたものを、運用会社が定める収益分配方針に基づいて投資家(投資信託の購入者)に分配されるものです。
もちろん投資信託は必ず収益を分配するという決まりがあるわけではなく、種類によって、分配金が支払われる分配型、そのまま再投資される無分配型がありますし、決算日も毎月であったり、半年毎であったりとさまざまです。
現在の税法において、二重課税を防ぐために運用期間中に発生する利益には課税されないようになっており、投資家に分配されるその時点で初めて課税されます。
少し話が脱線しますが、無分配型の場合、途中で税金がかからないで再投資されますから、その分複利効果は大きくなりますので、より「長期的に殖やしたい」方には魅力大ですね。

さて、この収益分配金は、どんなタイプの投資信託の運用の結果であるかによって所得としての種類が異なります。
公募公社債投資信託の場合は、利子所得という扱いになり、20%の源泉分離課税となりそれだけで納税が完了します。この公社債投資信託の収益分配金はまさに前々回( )内に書いたものが相当します。

公募株式投資信託の場合、平成16年1月1日以後、収益分配金は株式の配当と同じ配当所得という扱いになりました。こちらについても受け取るときには源泉徴収される源泉分離課税が適用され、原則確定申告は不要となっています。ちなみに源泉徴収される際の税率は、現在優遇税制の期間にあたるため10%です。
ただし配当所得という扱いであるため、一定の要件を満たす株式投資信託は総合課税として確定申告をすれば配当控除の適用を受けることが可能となります。ここで注意が必要なのは、「一定の要件を満たすこと」つまり「すべての株式投資信託」ではないということです。

配当控除の対象になるかどうかのポイントは、株式の組入れ比率と外貨建て資産の組入れ比率の組み合わせです。また、配当控除率もその組み合わせ、および申告者の課税所得金額によって異なります。
たとえば課税総所得金額1000万円以下の方で、保有公募株式投資信託の株式組入比率50%超で外貨建て資産組入比率 50%以下であれば所得税5%・住民税1.4%の配当控除の対象になります。
株式組入比率50%超で外貨建て資産組入比率 50%超75%以下のもの、もしくは株式組入れ比率が25%超50%以下かつ外貨建て資産の組入れ比率が75%以下のものは所得税2.5%・住民税0.7%の配当控除率となります。(課税総所得が1000万円超の方の場合各配当控除率は半分になります。)

株式組入れ比率が25%以下もしくは外貨建て資産の組入れ比率が75%超のものは配当控除の適用はありません。

以上のように公募株式投資信託といえども、配当控除が適用されない場合もありますので、保有されている投資信託の目論見書等でぜひとも確認するようにしてください。

投資信託は種類もタイプも豊富なだけに、税金の適用も様々で難しいですね。-----
EXTENDED BODY: