仕事をして稼いでも、投資で利益を得ても、私たちは「税金」を支払います。一言で税金といいますが、その中身には所得税と住民税があります。

先日、社内で「住民税が変わるって区からお知らせがあったのですが、すごく上がるみたいです!」という声がありました。平成19年度から住民税が大幅に増える!とそれだけ聞くと確かに大変なことです。
収入を得て、税金と社会保険料を差し引いた残りを可処分所得といいますが、その税金が増えれば当然、自由に使えるお金(可処分所得)が減ることになるからです。家計への直撃となりかねません。

実は平成19年度は定率減税の廃止も同時に行われるため、この「住民税が変わる」とは異なる部分で、確実に税金負担は増えます。定率減税というのはそもそも本来の税金額に対して、景気対策として一時的に税負担を軽減させるもので、平成11年度からの措置です。ですからこの廃止というのは、税金が増えるというよりは、税金が元に戻るという意味です。それでも昨年までと比べれば家計にも影響を与える、負担が増えるというのは事実ですが・・・

では今回の「住民税が変わる」ことによる負担増というのは、本当に家計を直撃することになるのでしょうか?
結論からいえば、ほとんどの人にとって「税金の負担」そのものは基本的には変わりません。(定率減税については無視して考えてください。)

それではなぜ「住民税が変わる」のか、です。
これは地方分権を進めるために、所得税(国税)から住民税(地方税)へ税金が移し替えられる(税源移譲)ためなのです。つまり同時に「所得税も変わる」ということです。
この措置により、多くの人は
○ 所得税が平成19年1月から減る
○ 住民税は平成19年6月から増える
こととなりました。 今年になってから手取りが増えた!という方は多いことでしょう。

「税金の負担」そのものが変わらないのは、この措置が税金の移し替えなので、所得税と住民税を合わせた税金の負担が変わることは基本的にないということです。

所得税と住民税の変わるタイミングが異なること、住民税は「地方税」であるため市区町村からの「お知らせ」などを目にする機会があることなどから「税金が上がってしまう!」という印象を受けてしまうのでしょう。

ちなみに所得税と住民税がそれぞれどのように変わったかというと、以下になります。所得税は4段階の累進課税(所得に応じて10〜37%)だったものが6段階(5〜40%)となりました。
この措置により課税所得が195万円以下の人は税金負担が軽減し、695万円超の人は税金負担が増えます。それ以外の人は変わりません。
住民税は3段階(5〜13%)であったものが、一律10%に変わります。これにより課税所得が200万円以下の人は税金負担が増え、700万円超の人は軽減されます。
以下のサイトで住民税の税額の試算ができます。
http://www.zeikyo-soft.jp/

※(注)課税所得とは、実際の収入から必要経費や一定の控除額を差し引いた 所得金額から所得控除を差し引いて算出したもので、収入の額面ではありま せん。また所得税と住民税では課税所得の算出のための控除額などが異なり ますので、上記については単純に比較できませんので、ご注意ください。
以上の税負担の増減については課税所得の違いに対する微調整も行われ、結果的には相殺されて負担は変わらないことになります。

税金の仕組みは複雑で難しいと思いますが、自分の生活に直接関係するものでもありますから、ぜひ枠組みだけでも知っておくようにしたいですね。-----
EXTENDED BODY: