高値更新が続く豪ドル

豪ドル/米ドルは、高値更新が続き、7日には一時0.78米ドルまで上昇した。この豪ドル/米ドルの上昇は、NYダウなど米国株高と高い相関関係が続いてきた(図表1参照)。それにしてもなぜ、株高と豪ドル高・米ドル安が連動したのか。

【図表1】豪ドル/米ドルとNYダウ(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これについて私は、昨年3月の「コロナ・ショック」の反動が大きかったのではないかと考えてきた。「コロナ・ショック」の世界的な株大暴落で、基軸通貨・米ドル買いが殺到した結果、金利差から大きくかい離した「高過ぎる米ドル」となった(図表2参照)。

【図表2】豪ドル/米ドルと豪米金利差(2019年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そんな「高過ぎる米ドル」が、「コロナ・ショック」といったパニック一巡後、金利差で正当化できる水準への回帰を目指した米ドル安となった。それこそが「コロナ後」の株高・米ドル安(豪ドル高)の基本的な背景だったのではないか。

そういった観点からすると、最近にかけての0.78米ドルまでの豪ドル高・米ドル安は、金利差との関係では逆に、豪ドル高・米ドル安の「行き過ぎゾーン」に入ってきた可能性すらありそうだ。

「コロナ後」の株高・米ドル安が、「コロナ・ショック」が引き起こした金利差からかい離した高過ぎる米ドルの修正が基本だったなら、これまで見てきたように、昨年末にかけてすでに金利差とのかい離が是正された可能性がある中で、それでも米ドル下落は続くかは微妙ではないか。

株高に連れる形で豪ドル/米ドルが金利差より豪ドル高・米ドル安になっているなら、株安や米金利上昇などをきっかけにその反動で豪ドル安・米ドル高になるリスクにも注意が必要だろう。