高値更新が続きユーロ/米ドル

ユーロ/米ドルの高値更新が続いている。足元では1.23米ドルを大きく上回ってきた。昨年のユーロ/米ドルの安値は1.06米ドルなので、これをもとに単純に対米ドルでのユーロ上昇率を計算すると16%になる。

ちなみに、対ユーロでの米ドル下落率を計算するなら、ユーロ/米ドルではなく、米ドル/ユーロが基準になる。それで計算すると、昨年からの対ユーロでの米ドル最大下落率は14%程度といった計算になる。

米ドルは対豪ドルでは約3割といった具合に、さらに大幅な下落となっている。以上のように見ると、ユーロ高・米ドル安もユーロが買われているというより、米ドル全面安が展開している結果と考えるのが基本といえるだろう。

それにしても、なぜ「基軸通貨」米ドルは、「コロナ・ショック」後にこれほど大きく下落しているのか。「コロナ・ショック」後ということで、世界的な株価暴落は一段落、むしろ株高が展開する中での米ドル安の理由とは?

昨年3月「コロナ・ショック」といった前代未聞のパニックにおいて、ユーロ/米ドルで見ると、金利差からかい離した米ドル高が起こった(図表参照)。これは、「コロナ・ショック」といった究極の有事において、金利などを無視したパニック的米ドル買いの結果だったということではないかと、これまで私は考えてきた。

【図表】ユーロ/米ドルと独米金利差(2019年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、ユーロ/米ドルにおいても、パニック一巡を受けて金利差で正当化できる水準へ回帰することが、最近にかけてのユーロ高・米ドル安の基本だったのではないか。

ただし、ユーロ/米ドルと金利差との関係を見ると、足元にかけてはむしろ「上がり過ぎ(ユーロ高・米ドル安)」懸念も出てきた。それを乗り越え、さらにユーロ高・米ドル安が続くか、徐々に微妙な段階に変わってきた可能性があるのではないか。