今年はボーナス投資が増える?
そろそろ冬のボーナス支給の季節となりました。2020年はコロナ禍の影響で会社の業績が悪化し、家計相談では「ボーナスは減額になりそう」、「完全に出ない(不支給)予定だ」などという声も少なからず聞かれます。
それでも、新型コロナワクチン承認への見通しが立ってきたとか、仮想通貨の高騰の話題、米国や中国の長期的な経済期待もあります。ですので、ボーナスが出る人の中には、「もしかすると今は投資を始めるには、ベターな時ではないだろうか」と感じている人も多いように思います。
毎年、夏・冬のボーナスの使い道の調査で1位となるのは「貯金」です。2020年はコロナ禍で減収などを経験している人も多いですから、なお、その傾向が強くなるのではないかと考えられます。加えて年金が話題になることも多く、将来を見据えて資産形成を意識し、「貯金もするけれど投資もしよう」という人が増えるのではないかと感じています。
ボーナスで投資をするということは、決して悪いことではなく、むしろ好ましいことだと私は思います。ただ、そのためには気をつけておくべき家計の条件があります。
ボーナス投資より先に家計を整える
支給されたボーナスは、いつまで残っているでしょうか。
一時的にボーナスを貯金することができても、時が経つにつれ引き出して使い、次のボーナスまでになくなってしまう、という暮らしが続いているようですと、投資もおぼつかないこととなるでしょう。
例えば、毎月の収支が赤字の場合、その赤字をボーナスから補填しているという人もいるでしょう。「ボーナスは使う予定がない」と、たかを括っていても、知らず知らずに減っているようであれば、毎月の赤字を自然とボーナスで補っているのかもしれません。
また、住宅ローン、マイカーローン、クレジットカードなど、様々な支払いをボーナスに回していないでしょうか。ボーナスから支払うことを約束しているものが重なると、当たり前にボーナスは自由に使えなくなります。
収支が赤字でボーナス払いが複数あるという場合、無理に投資をしても、やがて生活費が不足し、貯金を切り崩して暮らすというのでは本末転倒です。ボーナスで投資をすることを考えるのであれば、まず家計の状況を整えておくことが大切です。
ボーナス投資するための家計の条件
では、どのように家計を整えておくことが大切なのでしょうか。
まず、毎月の収支が黒字であり、きちんと貯金するお金を残せていることが大切です。そうすると、ボーナスで生活費を補填する必要もありません。また万が一、赤字になる月があっても他の月の余剰金で補填することができます。その他、会社の業績が悪くてボーナスが出ないという時でも、慌てずにすみます。
また、貯金があるかどうかも大切な条件です。貯金がないまま投資に励む人もいるようです。そうすると、万が一お金が必要な事態になった場合、売りたくない時期に投資商品を売却しなくてはいけないなど、当初の思惑とは異なる動きをしなくてはならなくなることがあります。
そうならないように、生活防衛資金としての一定額の貯金を持っておくべきです。目安としては、毎月の生活費の7.5ヶ月から1年分ほどの金額です。
その貯金の役割としては、「使う貯金」として生活費の1.5ヶ月分、「貯める貯金」として6ヶ月分以上、1年分、2年分でも自分が安心できる金額を作ります。
「使う貯金」は安定した生活費になるもので、生活費に0.5ヶ月分を上乗せして、予定外の支出に対応できるようにします。つまり、「貯める貯金」を切り崩さずに生活するためのものです。
「貯める貯金」は生活防衛資金です。収入が途絶えたり、病気などにより休業が必要になっても、収入を回復できるまで生活を維持するための貯金です。ですから、教育費やここ数年のうちに使う予定のあるお金は含みません。
このような条件が整っていることが、ボーナスで投資をするために必要な条件となるでしょう。これらのことを意識して、良い投資生活の一助にされてください。