本業となる仕事を持ちながら投資に取り組むのであれば、時間に縛られず、ほったらかしでできるスタンスが望ましい、と考える人も多いのではないでしょうか。とはいえ、「ほったらかし投資」の姿勢を決め込んだとしても、昨今の相場下落の様子から「やはり投資は怖い」、「今はやるべきじゃない」など、投資をネガティブに捉えることもあるようです。

そのように思うのは、もしかすると自然なことなのかもしれません。ただ、将来を見越して冷静に考えると、今は安く投資ができるチャンスだと捉え、動くこともできます。

例えば、いつもの積立投資は継続しつつ、相場が下がっているときは、長期的な視点で成長が見込まれる銘柄をスポットで買い増しするなどです。個別銘柄でも良いでしょうし、ETF(上場投資信託)などでも良いでしょう。

ここ1~2年のうちに投資を始めた人の中には、今まで経験したことがないような現状に、焦ったり、怖がったりと不安を感じている人もいるようです。こういう時期だからこそ、その不安に翻弄されないよう、落ち着いて行動していきたいものです。

長期的な視点を持ち、増やせる投資を実践しよう

米国などの代表的な株価指数を振り返ると、これまでに大幅下落は幾度となくありました。その後どうなっているかというと、回復までの期間はさまざまですが、株価の値動きは戻っています。

2008年のリーマンショックは約5年もかかりましたが回復しました。2020年のコロナショックも金融政策が採られたこともあり強い反発をみせました。そのため、株価が一時的に、または長期的にだらだらと下がっても、それが永遠に続くわけではないと考えるのが自然でしょう。

現在も、様々な要因が影響して相場が下がっています。ですが、将来の資産を形成するというゴールを目指すなら、当たり前にある途中経過での上がり下がりは気にせず、「長い目で見て、淡々と取り組む」ことが、やはり大切です。株価が下がれば気持ちは辛くなるかもしれませんが、そこはしっかりとホールドしましょう。

下がっているときも「ほったらかし」で、淡々としていれば良いのです。

初心者は今、投資を始めて良いのか?

投資をこれから始めようという人は、今の相場の状況に戸惑うようです。「今、投資を始めても良いのだろうか?」という質問も多く受けるようになりました。

結論から言えば、投資信託を長期的に積み立てていく手法であれば、投資を始める時期に相場が良いとか悪いとか、気にする必要は一切ないと思います。

その理由は、前述のとおり今は「安く買える時期」なので、毎月同じ金額を積み立てる場合「量を多く買える時期」になります。もし、投資を始める時期を選べるのであれば、心臓には多少悪いかもしれませんが、相場が悪い時期の方が良いでしょう。相場が上がったときに、有利になります。
 
ただ、投資以外に家計が要因となって「投資を始めるべきではない」という人もいるでしょう。新型コロナウイルスの影響が長引き、物価が上がり、収入は増えないため、家計に問題が生じることもあります。

毎月の収支から余剰金が捻出できない、また貯金が目減りしているという状況で無理に投資を始めると、やがて首が回らなくなります。今、投資を始めようと考えているのであれば、まずは家計状態を整え、生活防衛資金を確保し、その上で始めるように気をつけましょう。

初心者の投資は「長期・分散・低コスト」が鉄則

初心者が取り組む「ほったらかし」の投資は、株式指標に連動する値動きを目指し、かつ投資信託のコストを意識して動きもわかりやすい「インデックスファンド」の積立投資がおすすめです。

1つの商品の中に、数十から数千の銘柄を含んでいる投資信託は、その商品内である程度の分散投資ができているので、比較的投資商品の中ではリスクが低い金融商品といえます。全世界や先進国の企業の株式を対象に作られていたり、債券が集められていたりと、商品毎に特徴があるので、複数の商品を組み合わせてさらに分散投資をすると、リスクを抑えることが可能です。

また、「積立」も大切だとよく言われます。この「積立」とは、時間の分散を意味します。積立投資は極端に多くの利益を目指す投資法でないため、実入りを多くするにはコスト管理も大切なポイントです。そのため、運用する上では低コストも意識すべきです。そして、長期的に継続していくことで、複利の恩恵を受けることができます。

私のもとに家計相談に来る方は、上記のようなことを意識して投資を始めています。相場が下がっても、そこはぐっとこらえ、淡々と積立投資を継続しています。経済的にゆとりのある方は、株価が下がったと思えるときに投資信託をスポットで買い増したり、ETF(上場投資信託)にも目を向け購入したりしています。

資産を作るには、長期的視点を持つことが大切です。不安になるときもありますが、自分が行っていることを信じて淡々と投資に、資産形成に取り組んでいきましょう。