8月19日に公開したレポート「S&P500史上最高値更新!2021年に向けて、今、仕込みたい有望セクターとは」をお読みいただいたお客様からアンケートフォームにてご質問とコメントを頂きましたのでこの場を借りて、回答、ご紹介させて頂きます。

銀行株セクター:バンカメVS JPモルガン

Q:(今後の銀行株セクターの収益見通しが)全般に良いのであれば、JPモルガン・チェース(JPM、以下JPモルガン)の方がよいのではないでしょうか 

(8月19日のレポート:現時点でのS&P500の銀行セクターの市場の収益予想が、今年の7月-9月期は前年同期比で45.9%の減益、10月-12月期が同44.5%減益の後、2021年1-3月期は同45.5%の増益へ転じ、4-6月期になると151.4%の増益になる見通しであると説明し、今後銀行株のポジションを作っていく中、バンク・オブ・アメリカ(BAC、以下バンカメ)が良いのではという私の説明を受けて)

【図表】S&P500業績の推移(前年同期比)
出所:マネックス証券作成

A:実は私もそれを考えました。JPモルガンもとても素晴らしい銀行です。今のCEOのジェイミー・ダイモンは、私が昔働いた証券会社の上層部の方で、当時から話を聞く機会もあり、大変尊敬している方です。そんな縁もありますし、決してJPモルガンが悪いと言っている訳ではありません。今回あえてバンカメを紹介させて頂いたのは、バフェットさんの投資行動が気になったからです。

彼は、他の銀行の売りポジションを減らす中で、バンカメの保有比率を高めたということです(8月17日のオンラインセミナーでも説明した記憶もあるのですが、間違っていたらゴメンなさい)。バフェットさんはバークシャーのJPモルガンの保有株を第2四半期に61%分減らし、現在のポジションは2,229万ドル(発行済み株式数の0.73%)です。その一方で、彼はバンカメのポジションを10.6億ドル(発行済株式数の12.2%)まで引き上げたのです。JPモルガンとの保有額の違いは約47倍です。

ここで私も悩んだのです。一体なぜ彼はJPモルガンや他の銀行株を売って、バンカメのポジションを増やしたのだろうかと。多分しばらくすると、バフェットさんはCNBCあたりに出演し、その辺の背景を聞かれ、説明するのだろうと思うのですが、彼の真意がわからない今は想像するしかない訳です。

ウォーレン・バフェットがバンカメのポジションを増やした理由

私の推理はこうです。
銀行株の評価に使う株価純資産倍率(PBR)ですが、2021年のバンカメは0.84倍であるのに対し、JPモルガンは1.18倍と、バンカメの割安さが目立ちます。
バリュー投資家のバフェットさんは、この尺度で評価の判断を下し、これからやってくるであろう銀行株のラリーの準備を行ったのではないかと思いました。

加えて、JPモルガンはバンカメよりよりグローバルな銀行です。JPモルガンの売上の8割が米国内で2割は米国外です。一方、バンカメは9割が米国内で、1割が米国外なのです。バンカメの方が10ポイントほど国内の比率が高いのです。バフェットさんがアメリカ経済の将来にとても強気なのは周知の事実です。彼は米国の売上比率が高く、且つ、海外のプレゼンスも持つバンカメは理想的な投資ではないかと思います。

バフェットさんのお墨付きという理由でバンカメをご紹介しましたが、JPモルガンも投資の対象としては素晴らしい銀行だと思います。

2021年に向けて、時間の分散でポジションを作ることを検討するのは良いのではないかと思います。

Q:銀行セクター仕込むにも「ハッチに聞く」で紹介されたJPモルガンやバンカメをコアにするより、VFHやXLFのようなETFをコアにする方が賢明でしょうか?

A:コアという表現をお使いですから、コア・サテライト戦略を考えて仰っているのかなと思いますが、そうであれば、バンガード・米国金融セクターETF(VFH)や金融セレクト・セクター SPDR(R)ファンド(XLF)といったETFをコアとしてお持ちになるのは考え方の一つです。

要は、個別銀行銘柄を選んでマーケットのパフォーマンスに勝つ自信があるか、それとも個別銘柄のリスク/リタ―ンを取らず金融業界全体のエクスポージャーだけを取ることで満足するかと言ったような考え方の問題です。ご自分の考え方次第だと思います。個別銘柄が良くわからないけれど、金融セクターの見通しがよさそうだという事であれば、ETFをコアとし保有することは賢明だと思いますよ。

Q:今までMr. Marketに振り回され短期投資ばかりして損失を重ねてきましたが、岡元さんの米国株セミナーで自信をもって長期投資の決心ができました。S&P500が中心ですが、以前から気になっていたテスラ(TSLA)やボーイング(BA)も買いました。少なくとも10年は保有します。今後とも最新の米国株の情報発信をお願いします。

A:長期投資の重要性を理解して頂き良かったです。長期的に上昇している米国株投資の成功の秘訣は、長期投資だと信じて疑いません。今後ともお役に立てる投資情報の提供をさせて頂きたいと思います。何かありましたらアンケートフォームよりご質問お待ちしています。