S&P500史上最高値更新

S&P500指数は8月18日(米国時間)ザラ場中に3395.06へ上昇、ついに史上最高値を更新しました。新型コロナウイルスの拡大局面の3月には前例のない速度で株式市場は暴落しましたが、その後、同じく前例のないスピードで回復したことになります。

歴史的には、マーケットが史上最高値を更新した後は、5%程度調整することがあります。割と普通のことですので、それが起きても驚かないでください。

S&P500業績の推移からわかる、2021年に向けて、今、仕込みたい有望セクターとは

今後の展開を考えてみたいと思います。こちらはS&P500の業績の推移です。(図表)

第2四半期の決算発表はほぼ終わりました。市場の注目はこれからの決算発表となります。第3四半期になると前年同期比で23%の減益ですが、第4四半期になると12.7%の減益、そして2021年度第1四半期になると14.4%の増益となり、2021年度第2四半期になると46.9%の増益になるというのが現時点での市場の見方です。

【図表】S&P500業績の推移(前年同期比)
出所:マネックス証券作成

ここで、注目していただきたいのは、ITセクターの収益を除いたS&P500の収益予想です。第2四半期S&P500の収益予想は33%の減益なのですが、ITセクターを除いたS&P500ですと、40.4%の減益予想になっています。つまり、ITセクターのサポートがなければ、S&P500の収益はもっと悪かったということです。

今度は金融セクターを除くS&P500の収益を見てみましょう。第2四半期は29.3%の減益となっています。つまり、S&P500は金融セクターに足を引っ張られたという訳です。(【図表】S&P500業績の推移:青網掛け箇所)

今後のことなのですが、よく見てもらいますと、2021年の第2四半期になってくると、現在のトレンドが変わってきます。今期のS&P500の収益予想は46.9%の増益ですが、ITセクターを除いたS&P500の収益は58.2%となります。つまり、ITセクター以外のセクターの収益の伸びが、ITセクターの収益の伸びを上回ってくるのです。(【図表】S&P500業績の推移:黄色網掛け箇所)

これまでのマーケットは、GAFA+Mに代表されるハイテク主導で上がってきた訳ですが、このような予想データが示唆するのは、2021年のマーケットは他のセクター、特にバリューセクターの収益の伸びが市場の上げに貢献し、株価指数をより高いレベルへ持っていくということです。

バリューセクターの1つが、銀行セクターです。銀行セクターの見通しは、これから2期に渡って45.9%、44.5%の減益を経験するという予想です。その後ですが、米国経済の回復を受け、2021年の第1四半期になると45.5%の増益、第2四半期は151.4%の増益と大きく改善することになります。(【図表】S&P500業績の推移:赤色箇所)

前々から言っていることですが、株式市場は将来の収益予想を意識し動きます。そうでないと、今の株高は正当化できませんよね。1つの例でいくと、パフォーマンスの良くない銀行株ですが、そろそろ2021年に向けて絶好の仕込み時ではないかと考えています。

まさに、ウォーレン・バフェットが、米国での売り上げが9割を占めるバンク・オブ・アメリカ(BAC)をコアホールディングで買ったのはそういう事ではないかと思います。

市場全体についてですが、私は数ヶ月前から2020年末、遅くとも来年の頭には史上最高値を更新すると言ってきました。市場の動きは速いです。S&P500の2022年の収益予想は192ドルです。次の控えめな目標として、2021年までには、歴史的な平均予想PERの18倍の3,450辺りをトライすると考えています。