米ドル/円  日足

週間予想レンジ:106.50~108.50

メインストラテジー:押し目買い

・ロングポジションの振り落としは確認済
・106円関門前後における反転のサインは肝心
・5月安値割れなしで、強気構造を維持

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週106円関門直前までトライしたものの、一転して切り返し、「スパイクロー」風陽線をもって保ち合いを証左した。前回指摘したように、ロングポジションの「振り落とし」が観察されてから、同動きが一服した可能性を示唆。

主な背景として、米ドル/円とドルインデックスの連動性に復帰していたこと、もう1つは短期スパンにおけるターゲットを一旦達成したことが挙げられ、「振り落とし」があってもその許容範囲にあり、また106円関門の維持で保ち合いの状況が一段と証明され、強気構造の維持が確認されたとみる。

6月23日の大陰線、前の罫線に対して「アウトサイド」、後ろの罫線に対して「インサイド」のサインを点灯してから一旦上放れ、底打ちのサインとして確認できる。このまま維持できれば、6月5日高値109.86円への戻りが想定され、3月高値を起点とした調整波自体の制限に繋がる。

もっとも、一旦4月高値を更新していただけに、今回の試練でより底固めになる蓋然性も5月安値の割り込みさえ回避できれば、3月安値を起点とした上昇波動が継続され、調整子波自体の構造も維持される。中段保ち合いを経て早晩再度110円大台をトライし、新しい段階入りを示唆しよう。

新しい段階はほかならぬ、3月高値から5月安値まで形成された大きな「下落ウェッジ」の一段確認で得られた戻りの余地であろう。テクニカルの視点では、前記のように、教科書の指示通りなら3月高値111.72円の回復を目指すことはメインシナリオとして維持される。

根本的な見方は不変。即ち米ドルの強気基調、5月6日にて106円関門前後の支持を守ったことが始まりであった。激動な3月に対する反動という位置付けでは、5月安値をもって完了、また同安値からすでに新たな上昇の段階に入った。仮に5月安値105.98円の割り込みがあっても、調整波自体の拡大として認定できるものの、調整波の位置付けは不変。3月安値を起点とし大型強気構造の否定には至らない公算。

リスク要素として5月安値の割り込み、また調整波の拡大を想定していたが、先週の切り返しをもって同リスク要素の低下が確認され、底固めの蓋然性が高まりつつある。その反面、サインの点灯があっても再度否定される場合は5月安値の割り込みが必至、103~104円台の下値余地を一旦拓くだろう。

ファンダメンタルズの面では、アメリカで新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にあり、米国株の調整局面も想定され、リスクオフの米ドル買いも推測されることから、今週続伸の可能性を高める。すなわち、リスクオフの円買いはもはや過去の話。円は「普通の通貨」に戻る宿命にある。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:73.00~76.00

メインストラテジー:押し目買い

・高値圏での保ち合いや切り返し自体、強気のサイン
・行き過ぎに対する修正、すでに完成されるなら上値志向
・200日線との乖離が一旦解消、調整済を暗示

【図表2】豪ドル/円 日足
出所:筆者作成
 

アナリシス:

先週小幅切り返し、高値圏における保ち合いの一環と示唆。もっとも、先々週の続落は我々の想定通りで調整波の一環として位置付け、また値幅限定自体が強気のサインとして解釈できる。

そもそも反落自体を調整波との位置付けは3月安値からほぼ一直線に急伸してきただけに、何等かの形でスピード調整の先行が想定されたため、先週の値動きを含め、基本的な見方は変わらない。

スピード調整の一環として短期スパンにおける調整波継続の有無がもっとも重要な課題。先週の切り返しで調整波自体の深押しの回避が暗示されたとみる。200日線との乖離は、先週の切り返しで同線の打診や一時割り込みを回避できたと見なし、同回避によって調整波の値幅も従来の想定より小さいことが推測される。6月高値76.81円を起点とした保ち合い、トライアングル型として先行され、そのまま下値余地を制限する可能性に注目したい。

肝心のところ、コロナショックで3月19日まで大きく続落し、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだった。また年初来高値を一旦更新したことに鑑み、切り返し自体はもはや調整波ではなく、推進波として数えるから、途中のスピード調整があっても、ブル基調を維持できる。あくまでスピード調整と位置付けてきただけに、先週の切り返しをもって調整波の値幅を制限するという見方はむしろメインシナリオを強化したと思う。

その理屈はコロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかった。従って、76円台後半までの急伸で売られすぎに対する修正は完全に果たし、2019年末の高値更新やブレイクは証左のサインと見なせる。

すなわち、3月安値を起点とした上昇波はメイン変動と見なせる。そしてすでに新たな段階に入ったことから、調整波の先行があったほうがより健全な推進波の形成を図れる。

6月第一週の大陽線から、値幅が逓減する形で先週まで続き、大きな「インサイド」のサインを点灯していることを見逃せない。先週の切り返しで同値幅の中にてトライアングル型調整を形成しているなら、早上放れを果たし、80円心理大台の打診に繋がる。この視点では、今週も値幅限定される可能性が大きいものの、堅調な値動きを維持できる。

豪ドル対米ドルのV字型反騰と同様、株式市場のパフォーマンスや市場心理に依存する側面も大きく、場合によっては変動幅の一段の拡大も覚悟していた。しかし、株式の調整傾向に伴う米ドル買いの動き、豪ドル売りをもたらしたとは言い切れば、むしろ豪ドルの堅調が目立つ。

従って、米ドル/円次第で、今週豪ドル/円は再度底固めの公算が大きく、新たな押し目買いのスタンスが試される時期が来たとみる。75~76円台は当面の上値余地として意識される。

直近のサインとして、6月22日の陽線が強気サインを点灯。同日安値72.67円を下回らない限り、一旦75~75円台の打診を覚悟。反面、本格的な上放れの有無についてなお慎重なスタンスを維持。米ドル全体の一段落、即ち豪ドル対米ドルの続伸に依存する側面を強調したい。