米国市場、全体的に買われすぎのレベル
米株市場へのリスクの一つが現実化しつつあります。
新型コロナウイルスの「第2波」への懸念です。
テキサス州では3日連続で新型コロナウイルス感染の入院者数が増えているとのことです。カリフォルニア州の9つの郡では、コロナ感染者数が急激に増加していると報道されています。
6月10日のFOMC会議における「景気回復の道筋は楽観できない」との声明も市場の下げのきっかけとなりました。
ミニューシン財務長官が、「何があっても再度経済を閉めることはしない」と発言したことも危惧されたと思います。
S&P500は6月11日だけで5.9%下落し、3,002で引けています。これは2020年3月16日来の下げ幅です。
3月23日から大きな調整もなくマーケットは42.6%上昇していましたが、S&P500の14日相対力指数(RSI)でみると先日のオンラインセミナーでも指摘したとおり、市場全体的に買われ過ぎのレベルを超えており、ネガティブなニュースに反応しやすい環境だったと思います。
その時、マーケットはこう動いた 1日でS&P500が5%以上下落したその後の推移
6月11日の様に1日でS&P500が5%以上下落したその後、過去ではどう推移したか調べてみました。
1952年9月からのデータによると過去約68年の間にS&P500 が5%以上下落したのは今までに27回ありました。
そのうち22回(81.5%の確率)翌日株価は上昇、平均上昇率は2.14%となっています。
1週間後には平均1.97%上昇(66.7%の確率で上昇)、1ヶ月後には平均2.26%上昇(63%)、3ヶ月後は平均3.56%の上昇(61.5%)、6ヶ月後は5.82%の上げ(65%)、そして1年後ですと18.9%(82.6%)の上昇となっています。
2019年8月にはS&P500は1ヶ月程度2,900を中心にもみ合っており、2020年も4月の半ばから1ヶ月程度同じようなレンジでもみ合っていました。
そういった意味で、目先S&P500が2,900のレベルを割るか否か注視したいと思います。
また、市場のセンチメントは変わったものの、1)米国の個人投資家が引き続き市場に対しては慎重な見方をしていること、2)市場には520兆円相当の史上最高レベルのMMF(現金)が待機しているという株にとっての強気の材料は何も変わっていないという事実は忘れてはいけないのではないでしょうか。