米中関係、緊張感の高まる一方

株式市場におけるリスクである米中関係の緊張感は高まる一方です。
中国政府は、香港に対し新たな国家安全法を導入すると発表しましたが、世界中の政治リーダーはこれに反対すると表明しています。このニュースでハンセン指数は5月22日の1日で5.6%下落しました。

米国では先週(5月18日~22日)中国企業に対する様々なアクションが取られました。

米上院では、中国政府と近い関係にある企業の株式を米国株式市場から上場廃止を検討する法案が通過しました。商務省は新たに33の中国企業との取引を禁止すると発表しています。

労務省は、連邦職員の年金資産運用に、中国企業が含まれる株価指数をベンチマークとして使わない方針としました。対中感情が悪いのは政府レベルだけではありません。先週発表されたモーニング・コンサルトの調査によると、61%のアメリカ人が、中国は「友好的でない」、又は「敵である」と考えており、1月の調査のときより9ポイント上昇しています。トランプ大統領とバイデン大統領候補は、大統領選挙の対中国キャンペーンだけに既に1200万ドル(約13億円)を使ったといいます。

今後米中関係の対立はさらに深まっていくとみられます。市場はある程度までは許容範囲として我慢できると思いますが、あまりにも激しい対立となると、株価の調整以上の下げをもたらすリスクとなるかもしれません。

給付金で株を買うアメリカ人

前回のコラムでは、株式投資を行っている投資家は相場に対して悲観的であるというデータを紹介しましたが、実は全く違う投資家の心理が伺えるデータもご紹介したいと思います。

米国では政府による新型コロナウイルスの経済対策として、年収75,000ドル(約810万円)の独身者は1,200ドル(約13万円)、年収15万ドル(約1,610万円)までの夫婦には2,400ドル(約26万円)、加えて子供1人当たり500ドル(約54,000円)の給付金が支払われているのですが、エンベストネット・ヨーデルはその給付金がどのように使われているかという調査を行っています。

同社は給付金を受け取った翌週のアメリカ人の小切手口座(米国で普通に利用されている口座の種類)からの資金の行先を調べています。その調査によると、給付金が入金された翌週には人々の支出は81%増えており、小切手口座から資金の移動で最も目立ったのは預金口座への移動、ATMで現金の引き出しに次いで、個人の所得のレベルによって違うのですが2番目か3番目に人気があるのが証券会社口座への資金の移動、つまり株の取引に使われているのだと言います。

年間35~75万ドル(約380 ~810万円)の年収帯のアメリカ人が保有する証券口座への資金の移動は、給付金を受け取った翌週には90%増えているそうです。

日本ではどのような結果となるのか大変興味深いところです。