今週の日本株相場は、経済再開による景気回復期待と米中対立激化懸念との綱引きとなろう。懸念が強まる場面では日経平均が再び2万円を割り込む場面も想定される。
緊急事態宣言が継続している東京など首都圏の1都3県と北海道について、政府は、感染者数の減少傾向などが続けば25日にも宣言を解除する方針と伝わっている。首都圏が解除となれば本格的な経済再開への第一歩との受け止め方が市場で広がり景気敏感株を中心に幅広い銘柄が物色されるだろう。
日経平均は下降してくる75日線に頭を押さえられることなく上に抜け、一目均衡表の雲の上にも抜けた。本来であれば次の節目、2万1000円の大台を目指したいところだが、香港・中国情勢とそれに絡む米国の出方という懸念材料がある。中国は22日開幕した全人代で、香港の社会統制を強める「香港国家安全法」を制定すると発表した。22日の香港株式市場ではハンセン指数が急落した。週明けに国家安全法に反発した市民のデモなどが拡大すれば香港市場は再び動揺し、それが日本株の重石にもなるだろう。「香港国家安全法」に対する米国の反発も必至で、トランプ大統領は、中国政府が法案を成立させれば、米国は「極めて強力に対処する」ことになるとけん制した。
米中の対立が一段と先鋭化すれば、日本株にも下押し圧力がかかる。日経平均は2万円の大台を割る可能性もある。その場合、現在1万9900円弱の水準にある25日線がサポートラインとして意識される。次は一目均衡表の基準線の1万9800円程度か。その程度の調整にとどまれば戻り相場のトレンドは維持される。上昇トレンド維持の最大許容範囲は一目均衡表の雲を下抜けないところまでか。
今週のスケジュールでは、米国の新規失業保険申請件数で雇用悪化の出尽くし感がみられるかを確かめたい。5月の消費者信頼感指数も経済再開でどれだけ消費者マインドが改善しているかを探るうえで重要な指標だ。国内決算では27日のリクルート、29日の日立に注目したい。
今週の予想レンジはやや広めに1万9900 ‐ 2万600円とする。