iDeCoの最大のメリットは税制優遇。iDeCoを利用する上で知っておきたい三大メリットと合わせて注意点やデメリットを理解して上手に活用しましょう。

iDeCo(イデコ)の3大メリットとは

iDeCo(個人型確定拠出年金)の大きなメリットは、「毎月の掛け金」「運用期間中の利益」「年金の受取時」の3つの場面で税制優遇があることです。

掛け金の全額が所得控除になる

iDeCoは、掛け金の全額を「所得控除」の対象にすることができます。税金は、収入から様々な「所得控除」を差し引いた「所得」に対してかかります。つまり、所得控除が増えるほど、所得にかかる税額が減るので、その結果、支払う所得税が減るというわけです。iDeCoの掛け金は、「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除を受けられます。また、所得税に加えて、住民税も安くなります。

例:毎月2万円拠出する場合の節税額は4万8000円

では、iDeCoの掛け金を全額所得控除の対象にできることで、どれくらい節税できるのかを見てみましょう。例えば、課税所得が300万円で所得税率(※)10%のフリーランスの方がiDeCoに加入し、毎月2万円を拠出するとします。この場合、年間の掛け金の合計金額は24万円になります。

この24万円が全額所得控除の対象となることにより、所得税は24万円×10%=2万4000円安くなります。また、住民税の税率は、一律10%なので、住民税も24万円×10%=2万4000円安くなります。つまり、所得税と住民税を合わせて4万8000円も負担する税額が安くなるというわけです。より厳密には、所得税はその年の所得税から還付され、住民税は翌年の住民税から安くなります。

毎年24万円を運用しつつ、4万8000円も節税できるのです。

【図表1】iDeCo節税効果の3大メリット
出所:筆者作成

積立期間中、運用益が非課税になる

iDeCoの積立期間中の利益には税金がかかりません。例えば、通常、銀行の定期預金に預けたら利息に20.315%の税金がかかります。

一方、iDeCoで運用商品として定期預金を選んだ場合、その利息には課税されません。また、投資信託などの運用商品についても売却益はもちろん、分配金なども非課税となります。この運用益に税金がかからないというのは大きなメリットです。

また、利益に対して非課税ということは、それだけ多くのお金を運用に回すことができることになります。したがって、利息が利息を生む複利効果も期待できます。

iDeCoの運用、定期預金と投資信託では30年後の差額はどのくらい?

では、iDeCoの運用先として定期預金を利用する場合と投資信託を利用する場合とでは、運用でどのくらいの差が出るのでしょうか。

iDeCoで仮に月に1万円を30年間積み立てた場合で比較してみましょう。毎月1万円を30年間積み立てした場合の元本は、360万円です。

1万円を毎月定期預金(利回り0.02%を想定)で運用した場合:
30年後は361万円になります。

非課税口座以外で1万円を毎月投資信託(利回り3%を想定)で運用した場合:
運用益の20.315%が源泉徴収されると想定すると約526万円になります。

iDeCoでラインナップされている投資信託(利回り3%を想定)で運用した場合:
運用益が非課税、かつ所得控除による税金の還付を考慮すると、約655万円になります。
こちらは定期預金と比較すると、差額は294万円にもなります。運用益が非課税になる効果は大きいですね。

【図表2】運用益非課税は時間が経つほど効果大
出所:筆者作成

年金の受け取り時にも税制優遇がある

iDeCoでは受給時にも税金の優遇制度があります。iDeCoはそれまで運用してきたお金を60歳以降に引き出すことができます。

そのときの受取方法としては、
【1】一時金としてまとめて受け取る
【2】年金形式で何年かに渡って受け取る
【3】一部を一時金として受け取り、残りを年金形式で受け取る

の3つの方法で受け取ることができます。

【1】一時金としてまとめて受け取る

まず、「一時金としてまとめて受け取る」場合、受け取る時に「退職所得控除」という大きく税金が優遇される制度が活用できます。

通常、退職金はまとまった金額を受け取ることが多く、退職金にまるまる税金をかけられると、たくさんの税金を支払わなければなりません。長く働いてせっかく得た退職金なのに税金でたくさん持っていかれては生活が不安なので、「退職所得控除」という優遇措置が用意されています。本来は退職金のためのこの優遇措置がiDeCoの一時金受け取りの際にも適用されるのです。

退職金に対しては、一時金から「退職所得控除額」を差し引いた金額を、さらに2分の1にした「退職所得」に対して税金がかかります。つまり、一時金の金額が退職所得控除額と同じかそれよりも少なければ、退職所得はゼロとなるので税金はかかりません。

【2】年金形式で何年かに渡って受け取る

「年金形式で何年かに渡って受け取る」場合、年金形式で受け取る際に、公的年金などを含めた収入金額から公的年金等控除を差し引いて、所得金額(雑所得)を計算します。受取額から一定の金額を差し引いて課税されるため、税負担が軽くなって、優遇がない場合よりも手取額が多くなるというメリットがあります。

【3】一部を一時金として受取り、残りを年金形式で受け取る

「一部を一時金として受取り、残りを年金形式で受け取る」場合、一時金の受け取りについては「一時金としてまとめて受け取る」場合の課税方法と同じ、年金の受け取り方法については「年金形式で何年かに渡って受け取る」場合の課税方法と同じになります。

iDeCoのデメリットとは

今までお話ししてきたように、iDeCoは他の制度にはない税制優遇メリットがあり、お得な制度といえますが、デメリットはないのでしょうか?

iDeCoは60歳までお金を引き出すことができない

一般的にiDeCoのデメリットと言われているのは、原則「60歳まで引き出せない」ことです。これは、あくまでも年金という形で老後の資産設計の補助を目的として設けられた制度だからです。そのため、出産や育児、住宅費用などの大きな出費イベントのために、引き出すことができません。

さらに、加入期間によって、引き出すことができる年齢が変わってきます。60歳で引き出すためには、10年以上の加入期間が必要です。

口座開設時、口座管理にコストがかかる

iDeCoは加入時に支払う「口座開設手数料」と、毎月支払う「口座管理手数料」の2つの手数料がかかります。口座開設手数料は、一律 2,829円(税込)かかり、口座管理手数料は、金融機関によって異なります。長い運用の間には、ちょっとしたコストの差が長い目で見ると大きな差となります。

最低拠出額(5,000円)の制限があること

iDeCoでは、最低拠出額が5,000円となっています。毎月5,000円以上の拠出が難しい人にとっては、デメリットと言えます。この点、他の制度では最低拠出額の制限はありません。

国民年金を納めていないとiDeCoに加入できない

iDeCoは公的年金に上乗せする年金という位置付けなのでiDeCoに加入するには国民年金保険料を納めていることが条件になります。ですから国民年金保険料を滞納していたり、免除を受けていたりする人は利用できません。

今回は、iDeCoの主なメリット・デメリットを紹介しました。それぞれをしっかり把握して、上手に活用しましょう。

(本記事は公開日の2020年3月12日時点の情報となります。)