このレポートのまとめ
1.ネットフリックスの決算は「Disney+」の登場で新規加入者が伸び悩み
2.アイビーエムの決算は良かった
3.ジョンソン・エンド・ジョンソンの決算はまちまちだった
4.テキサス・インスツルメンツの決算は良かった
5.プロクター・アンド・ギャンブルの決算はまちまちだった
6.コムキャストの決算は良かった
7.インテルの決算は良かった
8.アトラシアンの決算は良かった
9.インテューイティブ・サージカルの決算は良かった
総括
先週はネットフリックス、アイビーエム、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの企業が決算を発表しました。
ネットフリックスの決算は見かけ上は良かったものの、これは2017年に成立した税制改革の最終解釈により過去3四半期分が過払いとなった法人税の戻入によるところが大きかったのです。一方、米国内での新規加入者はライバルの「Disney+」がサービスを開始した関係で伸び悩みました。3月には「Disney+」が海外でもサービス開始するため、来期以降も競合からのプレッシャーは続くと思われます。
アイビーエムの売上高パフォーマンスはまずまずでした。その反面、ジョンソン・エンド・ジョンソンの決算はまちまちでした。
テキサス・インスツルメンツは前回、酷い決算を出したのですが、今回は良かったです。ただ売上高パフォーマンスは引き続き厳しいものがあります。
プロクター・アンド・ギャンブルの決算は売上高が未達でした。個々の部門の売上高やボリューム・トレンドはそれなりにしっかりしており、今回は事前の期待が高すぎたのだと思います。
■ネットフリックス(NFLX) 伸び悩んだ
ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)の第4四半期決算は一株利益(EPS)予想53セントに対し1.30ドル、売上高予想54.5億ドルに対し54.7億ドル、売上高成長率前年同期比+30.6%でした。
なお第4四半期の一株利益(EPS)は米国財務省が2017年制税改革にまつわる新しいレギュレーションを発表した結果、2019年の第1~第3四半期の法人税の過払い(over-accrued)があり、それを調整(純利益は4.37億ドル押し上げ)しました。
新規顧客数はガイダンス760万人に対し876万人でした。新しい番組が充実していたことと世界でストリーミングが消費者に受け入れられたことが成長に寄与しました。欧州、中東アフリカ、南米、アジア太平洋で新規加入者は過去最高を記録しました。
その反面、米国、カナダの新規加入者は55万人にとどまりました。前年同期は175万人でした。米国、カナダが不振だった理由は「Disney+」の影響です。
第4四半期末の時点での加入者数は:
米国、カナダ 6,766万人(うち新規55万人)
欧州、中東、アフリカ 5,178万人(うち新規442万人)
南米 3,142万人(うち新規204万人)
アジア太平洋 1,623万人(うち新規175万人)
でした。
米国売上高は24.58億ドル、コントリビューション・マージンは30.8%でした。
海外売上高は29.41億ドル、コントリビューション・マージンは11.2%でした。
第1四半期の一株利益(EPS)は予想1.18ドルに対し新ガイダンス1.66ドルが、売上高は予想57.4億ドルに対し新ガイダンス57.3億ドルが提示されました。新規顧客は予想850万人に対し新ガイダンス700万人が提示されました。
■アイビーエム(IBM) 良かった
アイビーエム(ティッカーシンボル:IBM)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想4.69ドルに対し4.71ドル、売上高が予想216.2億ドルに対し217.8億ドル、売上高成長率は前年同期比+0.1%でした。
部門別売上高(前年比成長率)は:
クラウド&コグニティブ・ソフトウェア 72億ドル(+9%)
グローバル・ビジネス・サービス 42億ドル(±0%)
グローバル・テクノロジー・サービス 69億ドル(-4%)
システムズ 30億ドル(+16%)
クラウド 68億ドル(+23%=但し部門売却あり)
でした。
部門別グロスマージン(前年同期)は:
クラウド&コグニティブ・ソフトウェア 79.2%(79.4%)
グローバル・ビジネス・サービス 27.5%(27.8%)
グローバル・テクノロジー・サービス 35.2%(34.9%)
システムズ 56.0%(50.8%)
グローバル・ファイナンシング 35.6%(29.1%)
でした。
グロスマージンは51.8%でした。
フリー・キャッシュフローは60億ドルでした。
2020年の一株利益(EPS)は予想13.29ドルに対し13.35ドルが提示されました。
■ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ) まちまちだった
ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカーシンボル:JNJ)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.87ドルに対し1.88ドル、売上高が予想208.3億ドルに対し207.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+1.7%でした。
地域別売上高は:
米国 107.7億ドル(前年同期比+1.4%)
海外 99.7億ドル(前年同期比+2.1%)
でした。
部門別売上高は:
消費者 35.7億ドル(前年同期比+0.9%)
薬品 105.5億ドル(前年同期比+3.5%)
医療機器 66.3億ドル(前年同期比-0.5%)
でした。
2020年の一株利益(EPS)は予想9.09ドルに対し新ガイダンス8.95~9.10ドルが、売上高は予想855.2億ドルに対し新ガイダンス858~862億ドルが提示されました。
■テキサス・インスツルメンツ(TXN) 良かった
テキサス・インスツルメンツ(ティッカーシンボル:TXN)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.02ドルに対し1.11ドル、売上高が予想32.1億ドルに対し33.5億ドル、売上高成長率は前年同期比-9.9%でした。
アナログ売上高は-5%の25億ドル、エンベッデッド売上高は-20%の6.3億ドルでした。
アナログ営業利益は-15%の11億ドル、エンベッデッド営業利益は-323%の1.6億ドルでした。
第1四半期の一株利益(EPS)は予想1.05ドルに対し新ガイダンス96セント~1.14ドルが、売上高は予想32.2億ドルに対し新ガイダンス31.2~33.8億ドルが提示されました。
■プロクター・アンド・ギャンブル(PG) まちまちだった
プロクター・アンド・ギャンブル(ティッカーシンボル:PG)の第2四半期(12月期)決算は一株利益(EPS)が予想1.37ドルに対し1.42ドル、売上高が予想183.7億ドルに対し182.4億ドル、売上高成長率は前年同期比+4.6%でした。
部門別オルガニック・ボリューム成長率は:
ビューティー +5%
グルーミング +2%
ヘルスケア +5%
ファブリック・ホームケア +3%
ベビー・フェミニンケア 0%
でした。トータルでは+3%でした。
一方、部門別オルガニック売上高成長率は:
ビューティー +8%
グルーミング +4%
ヘルスケア +7%
ファブリック・ホームケア +5%
ベビー・フェミニンケア +1%
でした。全体では+5%でした。為替は売上高成長率に-1%の影響をもたらしました。値上げは+1%、ミックスの改善は+1% でした。
部門別純利益は:
ビューティー 8.58億ドル +11%
グルーミング 4.11億ドル +9%
ヘルスケア 5.71億ドル +10%
ファブリック・ホームケア 9.75億ドル +13%
ベビー・フェミニンケア 8.2億ドル +16%
でした。全体としては+16%でした。
2020年の売上高は予想706.9億ドルに対し新ガイダンス704~711億ドルが提示されました。
■コムキャスト(CMCSA) 良かった
コムキャスト(ティッカーシンボル:CMCSA)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想77セントに対し79セント、売上高が予想281.8億ドルに対し284億ドル、売上高成長率は前年同期比+2.0%でした。
ケーブルコミュニケーション部門売上高は147.7億ドルでした。前年同期は143.4億ドルでした。そのうち主な項目としてネット接続サービスは47.9億ドル、前年同期は44億ドルでした。ケーブルビデオは55.1億ドル、前年同期は55.8億ドルでした。ビジネスサービスは20億ドル、前年同期は18.4億ドルでした。
ケーブルネットワーク部門売上高は29.3億ドルでした。前年同期は28.9億ドルでした。
TV放送部門売上高は31.6億ドルでした。前年同期は31億ドルでした。
映画部門売上高は15.6億ドルでした。前年同期は19.8億ドルでした。
テーマパーク売上高は15.6億ドルでした。前年同期は15.1億ドルでした。
スカイ売上高は50.4億ドルでした。前年同期は50.2億ドルでした。
第4四半期の修正EBITDAは前年同期比+3.0%の84億ドルでした。
■インテル(INTC) 良かった
インテル(ティッカーシンボル:INTC)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.25ドルに対し1.52ドル、売上高が予想192.3億ドルに対し202億ドル、売上高成長率は前年同期比+8.3%でした。
第1四半期の一株利益(EPS)は予想1.03ドルに対し新ガイダンス1.30ドル、売上高予想171.9億ドルに対し新ガイダンス190億ドルが提示されました。
2020年の一株利益(EPS)予想4.65ドルに対し新ガイダンス5.00ドルが、売上高予想721.5億ドルに対し新ガイダンス735億ドルが提示されました。
■アトラシアン(TEAM) 良かった
アトラシアン(ティッカーシンボル:TEAM)の第2四半期(12月期)決算は一株利益(EPS)が予想27セントに対し37セント、売上高予想3.89億ドルに対し4.09億ドル、売上高成長率は前年同期比+36.7%でした。
第3四半期の一株利益(EPS)は予想22セントに対し新ガイダンス20セントが、売上高予想3.97億ドルに対し新ガイダンス3.95~3.99億ドルが提示されました。
2020年の一株利益(EPS)は予想1.02ドルに対し新ガイダンス1.03~1.09ドルが、売上高予想15.5億ドルに対し新ガイダンス15.9~16億ドルが提示されました。
■インテューイティブ・サージカル(ISRG) 良かった
インテューイティブ・サージカル(ティッカーシンボル:ISRG)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想3.38ドルに対し3.48ドル、売上高が予想12.7億ドルに対し12.8億ドル、売上高成長率は前年同期比+22.1%でした。
ダビンチ処方成長率は+19%でした。ダビンチ出荷台数は+16%の336でした。現在のインストールベースは前年同期比+12%の5,582です。