このレポートのまとめ

1.米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利政策に変更なし
2.経済予想サマリーの2020年のGDP予想は上方修正
3.新しい政策金利決定フレームワーク
4.「緩和のピークは過ぎた」と市場は認識

米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利政策に変更なし

9月15、16日の2日間に渡って開催された米国の政策金利を決める会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)では現行の政策金利(フェデラルファンズ・レートで0~0.25%)の維持が決められました。現在行われている量的緩和政策も今のペースを維持することが確認されました。これらの政策は、今後も当分の間、変更は加えられない見通しです。

経済予想サマリーの2020年のGDP予想は上方修正

米国経済に関してはFRB(米連邦準備制度理事会)メンバーたちによる経済予想サマリーの中の「今後のGDP予想の平均値(図表)」にも見られる通り、2020年に関しては悲観的過ぎた予想に上方修正が入りました。その反面、2021年以降の反発幅も小さ目に予想されています。

【図表】FRBメンバーによるGDP予想(%)
出所:2019年12月経済予想サマリー

新しい政策金利決定フレームワーク

米国の中央銀行であるFRBは最近、政策金利を決定するにあたり、考え方のガイドラインとなるフレームワーク(枠組み)を見直しました。これは数年越しで議論されてきた懸案です。

結果としてこれまでのFRBのように「そろそろ景気が上向いてきたのでインフレに先回りするカタチで利上げしようか?」というような考え方を改め、一定の期間をとって平均を出した場合、インフレ率が2%前後になっていれば良いのであって、先回りして利上げするには及ばないというアプローチが採用されました。

この決定が持つ重要性としては今後、FRBが利上げに踏み切るタイミングはいつもより遅くなるということです。

それ自体は景気に支援的であり、低金利が長く維持されるという意味において、株式バリュエーションにとってもプラスです。

「緩和のピークは過ぎた」と市場は認識

FRBが当分の間、低金利を維持するということは、今回のFOMCで十分に市場参加者に徹底されました。

その反面、9月16日のパウエル議長の記者会見を視聴した投資家は「一応、これで緩和のピークは過ぎたな」と実感しました。FOMCの翌日(9月17日)、株式市場が売り先行で始まったのは、そのような理由によります。

まとめ

今回のFOMCではサプライズは出ませんでした。米国経済は極端に悲観的な見通しが改められ、ゆっくりと改善に向かっていることが確認されました。現行の0~0.25%という政策金利が当分の間維持されることは市場参加者に周知徹底されました。その反面、「これ以上の踏み込んだ緩和は無いな」ということも広く認識されたと思います。