英ポンド/米ドル (1.2530〜1.3670)  10月24日〜10月30日まで

アナリシス: 

皆さま、こんにちは! 英国EU離脱問題が先週から大きく動いています。まず、先週のEU首脳会議にて争点となっていた、EU離脱に合意できるか否かについて。こちらは無事合意に至りました。

これを受けてポンドは急伸。その後、10月19日にジョンソン首相は英下院の臨時総会を開きましたが、EU首脳会議で合意された離脱協定の修正案の採決は先送りとなりました。

これは、合意なき離脱の回避を目指す下院の超党派グループが、離脱関連の国内法が成立するまで離脱案の承認を保留するという修正動議を提出し、この動議が本採決の前に下院にて可決されたことが理由です。

これを受けて、ジョンソン首相はやむなくEU側に離脱延期要請の書簡を送付しています(ただし、この書簡には首相のサインはないと報じられています)。

10月21日に再度、修正案の採決を求める動議を首相が提出したものの、下院議長バーコウ氏は「これは繰り返しになり、秩序を乱す」として拒否しました。

EUとの合意に基づく修正案を英国で国内法化するための離脱協定法案(WAB)の早期成立をジョンソン首相は望んでいますが、審議日程を3日間とする政府動議は否決。これによって10月31日までに離脱することは、ほぼ不可能になりました。離脱協定案は110ページに及ぶ本文が含まれているため、短期間の審議で進めていくことに反発している与野党の議員が大多数となっているようです。

あくまでジョンソン首相は10月31日での離脱を目指す方針を主張していますが、高速審議の否決により、ほぼ不可能な状況と言えるでしょう。

一方で、EUのトゥスク大統領は、英国側から離脱延期を求める書簡を受け取ったことで、加盟国首脳と対応を協議中の模様です。

合意なき離脱はEUの選択肢にはないとしているため、EU側が延期要請に対して認めるかどうかが焦点となりました。EU側が英国の要請する3ヶ月の延期を容認しつつも、英国の離脱への用意が整えば期日前でも離脱が可能になるような取り決めとなる公算が高いと見られていますが、唯一、フランスはこうした延期要請に対して後ろ向きな姿勢のようです。

英国の要請通り1月31日までの延期をEU側が受け入れたなら、クリスマス前の総選挙が必要になるとジョンソン首相は話しているようです。

なかなか前に進まない感のある議会ですが、英国の国民、またEUの近隣諸国にとっては、早期の決着が望まれていることでしょう。

いずれにしても、合意なき離脱の可能性はかなり低いものとなり、あとは時間との勝負といったところになっています。一時的な下落があっても、そのタイミングを上手く活用するぐらいのスタンスで、ポンド買いの基本姿勢は崩さないのが賢明でしょう。

それでは、月足チャートです。

【図表1】英ポンド/米ドル(月足)
出所:筆者作成

トレンドレス中段。月足Wボトム形成中となり、このままミドルを上抜けて+2σまで上げて行くかどうかの場面です。

続いて、週足チャートです。

【図表2】英ポンド/米ドル(週足)
出所:筆者作成

ダウントレンドから一転し、トレンドレス上段。このまま上昇するならトレンドレスの上段を更新したバンドウォークも可能な場面です。

最後に、日足チャートです。

【図表3】英ポンド/米ドル(日足)
出所:筆者作成

アップトレンド中。現時点では+1σが効いて反発しているところですが、今後、MA、ミドルまで揉み合うのか、このまま+2σまで上昇するかの場面です。

向こう1週間の重要指標です。

24日(木)
20:45 EU・ECB政策金利
21:30 EU・ドラギECB総裁定例記者会見
23:00 米・新築住宅販売件数

30日(水)
21:15 米・ADP雇用統計
21:30 米・GDP速報値
27:00 米・FOMC終了後政策金利発表
27:30 米・パウエルFRB議長定例記者会見

上記の分析からエントリーポイントとして、

予想レンジ:1.2530〜1.3670

メインストラテジー:

買いをするなら
・1.3000近辺を上にブレイクしたら短期足を使って押し目でエントリー。
・日足MAもしくはミドル反発 + 4時間足中段保合い下限からのエントリー。
(参考価格)1.2730〜1.2760

売りをするなら
・1.2960近辺で4時間足Wトップトレ転狙いでエントリー。
(ターゲットは日足のMAもしくはミドル付近)
・1.3160〜1.3190の週足トレンドレス上段から逆張りエントリー。
・1.3840〜1.3880の月足トレンドレス上段からの逆張りエントリー。