暴落でも暴騰でも生き残れる投資戦略はなにか?
前回のコラム「米国株買い、日本株売りのマーケット・ニュートラル戦略は有効か」では、米・日の株式市場パフォーマンス格差を利用して、同金額のS&P 500を買ってTOPIXを売るというマーケットニュートラル運用を提案した。
これまでファンドの守秘義務で明らかにしてこなかったが、昨年までは同金額のアマゾン株を買って、S&P 500の先物を売っていればよかった。相場下落に対する保険も付いているマーケットニュートラル運用でありながらも、爆発的なパフォーマンスがあがったのである。
しかし、今、ビックテック企業は個人情報保護のデジタル規制や税金問題で強烈な逆風が吹いている。ITバブルはとりあえず昨年の9月で終わったので、これまでのようなパフォーマンスは期待できないかもしれない。
●アマゾン(年足)
●S&P 495とビッグ5(2013年~2017年)
S&P 500の上昇は、2013年中旬以降、年率わずか6.1%に過ぎない。一方、ビッグ5指数は同期間に57.3%とべらぼうに高い評価をされている。
※ビッグ5(アップル・アマゾン・グーグル・フェイスブック・マイクロソフト)
アマゾンの強さは、その潤沢なキャッシュフロー(CF)である。保険業で保険料を徴収し、払い戻しが生じるまでコストがゼロの資金を運用し、利益につなげるビジネスモデルを展開しているウォーレン・バフェットのバークシャー・ハザウェイと同様、アマゾンの強みもこのコスト・ゼロの資金にある。
積極的な投資を行っているため、投資CFは常にマイナスとなっているが、営業赤字であった2012年や2014年にもフリーCFはプラスを維持している。増資等を行わずとも新たな分野への投資も含め、キャッシュを自由に使う余裕があるため、株主価値を毀損することもない。
IT企業に世界的な逆風が吹いているが、今の独占禁止法ではアマゾンを止めることはできないだろう。
●アマゾン株(週足)と押し目買いポイント
アマゾン買いとS&P 500売り、そして、前回のレポートで取り上げたS&P 500買いとTOPIX売りというマーケットニュートラル戦術は、不確実性の時代を生き延びるための保険付き運用技術である。
ただし、仕掛けるタイミングが重要だ。
石原順の注目銘柄
ビヨンドミート(ティッカーシンボル:BYND):<話題の銘柄 MACDとシグナルのゴールドンクロスで短期買いも一考>
アドビ(ティッカーシンボル:ADBE):<買い継続 押し目買い>
アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN):<買い継続 押し目買い>
マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT):<MACDとシグナルのゴールドンクロスで短期買いも一考・長期押し目買い銘柄>
シティーグループ(ティッカーシンボル:C):<利食い、あるいはMACDとシグナルのデッドクロスで短期売り 基本は戻り売り銘柄>
日々の相場動向については、ブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。