先週金曜日、米国株式市場でダウ平均は243ドル高と3日続伸した。史上最高値更新が続く好調な米国株と、薄商いで上値の重い日本株。対照的な構図だが、実はこの両者、年初からの動きを見ると5月まではまったく同じ値動きをしてきた。差が拡大したのは6月以降。いうまでもなく米国の利下げ期待が強まってからだ。それでもダウ平均と日経平均のリターン格差は年初来で5%程度だ。相当引き離されてしまった感があったが、実はまだそれほど差が開いた訳ではない。そうは言っても方や史上最高値更新、こちらは昨年秋の高値からの下げ幅に対して半値戻しがやっとだから、日本株の戻りが弱いのは確かである。
企業業績が冴えないのは日米同じ。利下げ期待がマーケットを支える金融相場の様相が強まっている。そんな中、今週はシティ、JPモルガン、ウエルズファーゴなど米国の金融機関の決算発表がある。ハイテクでは水曜のIBM、ネットフリックス、木曜日のマイクロソフトに注目だ。欧州企業だがASMLホールディングの決算発表も水曜日にある。同社業績は年後半からの大幅回復シナリオが予想されており、半導体製造装置の先行指標として注目される。
年初からのパフォーマンスを見ると上述の通り、ダウ平均が日経平均を5%上回っているが、ナスダック総合指数はそのダウ平均をさらに5%上回る。そしてそのナスダック総合指数を10%近くアウトパフォームしているのがフィラデルフィア半導体株指数だ。なんだかんだ言って6月以降の株高は半導体株が牽引してきたのである。マイクロン・テクノロジーズの過去1ヶ月リターンは35%。エヌビディアも15%程度上げている。こうした流れが日本のハイテク株に波及しないのが不思議である。米国の半導体企業の決算発表で下期回復につながるコメントが出れば、日本の半導体株も見直し買いが入るだろう。
昨日発表された中国の4~6月の国内総生産(GDP)が前年同期6.2%増となったことは日本市場に影響しないだろう。リーマン・ショック直後の09年1~3月期を下回り、四半期ベースで統計を遡れる1992年以降で最低だったなどと報じられているが、GDP成長率がスローダウンしていくのは既定路線。同時に発表された小売売上高、鉱工業生産などは予想を大きく上回った。これらの統計発表を受けて上海総合指数は朝方の下げを埋めてプラスで終えている。
日経平均は25日、75日、200日等の移動平均が収斂してきている。売買代金は低迷し煮詰まり感もあるが、参院選通過後、来週からの決算発表タイミングで上放れてくるのではないかと思う。米国株は最高値更新で利益確定売りも出やすいが利下げ期待が根強く、多少の調整はあっても大崩れはしない。日本株は米国株高に連れ高していないので、米株が調整しても連れ安もないだろう。放れてくるのは来週以降で、今週も引き続きもみ合う展開か。
予想レンジは21,300-22,000円とする。