米ドル/円 日足

週間予想レンジ:108.00~109.50

メインストラテジー:押し目買い

・米中対立は長期テーマ、目先緩和の気配なしだが、米利下げ観測で市場センチメント改善
・対メキシコの関税引き上げ見送り、リスクオフを一服させ、反落波の終焉も
・年初の急落時と同じく、「オーバーシュート」の極みでリバウンド継続へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は小幅下落、108円関門を一旦割り込んでいたものの、終値をもって回復、リスクオフの流れは一服した。

米利下げ観測の高まり、また米株の急騰もあって、連動性を示す米ドル/円の下値余地を限定させた側面を見逃せない。さらに、対メキシコ関税引き上げの取り下げでリスクオフの流れを一服させ、円全体の頭打ちを示唆した。

もっとも、度々指摘してきように、108円関門の打診や割り込み自体がテクニカル視点における「オーバーシュート」の状況も一段と強まったわけで、下げ一服または下値余地限定は当然の成り行きであった。年初急落時と同様な「売られすぎ」が観察されただけに、先週の値幅限定を最初のサインと見なす。

日足では、6月5日の安値更新、またその後一転して陽線で大引け、さらに強気「リバーサル」の点灯が目先においてもっとも重要なサインであろう。

これから安値更新しない限りリバウンドが継続される公算が大きい。反面、あくまで「売られすぎ」に対する修正という段階にあり、上値が重い状況も続くかと推測される。5月31日高値の109円台後半はしばらくドルの頭を押さえ、安易な回復もなかろう。

ただし、108円関門前後における下げ止まり自体、大きなサインと化すはずだ。何しろ、年初来安値を起点とした全上昇幅に対する0.618調整位置と合致し、また4月高値を起点とした下落をあくまで調整波という位置づけでは、108円関門前後における下げ止まりは調整波の底打ちを暗示したとみる。

ドルインデックスも先週は再度大きく反落した。外貨高を通じて、主要クロス円における円高圧力の緩和も推測され、また同傾向が一段と強まっていくと推測される。そのため、引き続き米ドル/円の下値余地を制限してくるはずだ。メインシナリオとして、安値更新しない公算が大きいから、値幅限定であるが短期スパンにおける押し目買いのスタンスを試したい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:75.50~77.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル対米ドルの下落は一服、またリバウンド先行もあって、底堅い
・一旦75円関門割れを果たしたことはあって、ショート筋の目標達成感が強い
・オーバーシュートの状況は年初来と同様なので、反騰(リバウンド)が続く

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

 アナリシス:

先週は一旦安値を更新、また75円関門割れを果たしたものの、その後切り返し、陽線引けをもって底打ちを示唆した。リスクオフの流れの一服、また米ドル/円の底割れが効いた上、豪ドル/米ドルの反騰が続き、豪ドル/円の底堅さにつながったとみる。

もっとも、一旦75円関門割れ自体が「オーバーシュート」であった上、ショート筋にとって目標達成が強かったはずだ。既述のように、75円台大台前後のターゲットの達成は計算どおりだったので、従来のロジックを証左したと言えるから、逆説的には一旦下げ止まりになりやすい水準であった。

同ロジックは、まず、この前77円台半ばの割り込みで4月の一時高値更新が「フォールス・ブレイクアウト」と証左したことだ。次に、元のレンジに対する「倍返し」の75円台の下値ターゲットも推測されたことが正解であったことも既述のとおりである。先週の安値トライをもってその「極み」を果たしたわけだ。

さらに、先週の陽線引け自体もサインと化しているかとみる。続落したものの、主に米ドル/円の急落、また5月31日の下落をもって下値リスクを再燃した。

先週のコラム「米ドル/円はトランプ砲再開でリスクオフも限界に近いか、豪ドル/円の下値余地は限定」で述べたように、5月第2、第3週の週足では「インサイド」のサインが形成されていた。

そのため、先々週の続落をもって同サインの「下放れ」を果たし、本来大きな下落モメンタムを強め、更なる急落をもたらしてもおかしくなかった。しかしながら、先週の切り返しをもって同サインを否定したと言える。

週も強調したように、5月7日の「スパイクハイ」のサインが鮮明であったため、「倍返し」の計算も同日高値から推測されやすかったので、先週の下値打診自体、ショート筋にとって目標達成感が強かった。

ゆえに、短期スパンにおけるターゲットの達成があって、下落モメンタムの低下も推測され、安値圏での保ち合いが継続されるものの、底堅い推移を果たすだろう。値幅は限定的ながら、短期スパンにおける押し目買いのスタンスを維持したい。