米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.50~109.50

メインストラテジー:レンジ取引

・米中対立は長期テーマ、目先緩和の気配なし
・対メキシコの関税引き上げ示唆、リスクオフの流れを加速
・とはいえ、年初の急落時と同じく、「オーバーシュート」の極みを露呈

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は一旦保ち合い、また5月30日に小幅反発したものの、5月31日トランプ米大統領による対メキシコ関税引き上げ発言で再度リスクオフを強め、大幅続落した。一気に108円前半の打診もあって、テクニカル視点における「オーバーシュート」の状況も一段と強まったわけだ。

既述のように、4月の一時高値更新で大きな「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯したため、その後の大幅反落をもたらした。3月安値の割り込みで元レンジの下放れを確認、下値余地の拓きも当然の成り行きであった。

5月21日高値110.69円までの切り返しで前記レンジの中間位置前後と合致したものの、その後「インサイド」のサインを形成、また下放れを果たしたため、その後の下落につながったとみなされる。従って、先週末の大幅続落の一環と見なせる。

この意味では、5月30日の「スパイクハイ」のサインもあって、続落を前記下落波の一環と見なした場合は、元レンジの値幅は5月21日高値から数えればほぼ先週末の安値前後と合致し、いわゆる「倍返し」の目標を達成したとみる。先週末の大幅下落もあって、年初急落時と同様に「オーバーシュート」の状況は深刻になっているのも見逃せない。

もっとも、既述のように、年初安値を起点とした上昇波を推進波と見なし、4月高値を起点とした反落はあくまで途中の調整と位置付ける。

従って、前記「倍返し」の目標の達成もあって、これから下値余地があるものの、先週末の大幅続落で大分「出尽くし」があったと推測され、限定されると予測される。反面、5月31日高値の109円台後半はしばらくドルの頭を押さえ、安易な回復もないであろう。

さらに、ドルインデックスも先週末に再度反落してから5月23日高値を更新できずにいる。主要クロス円における円高圧力の緩和も推測されることから、米ドル/円の下値余地を制限してくるはず。とはいえ、「トランプ砲」次第、再度波乱があってもおかしくないので、リスクコントロールをしっかり行いたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:74.50~76.00

メインストラテジー:レンジ取引

・豪ドル/米ドルの下落は一服、下値限定
・米ドル/円につられて75円関門割れが想定されるが、ほぼ限界に
・オーバーシュートの状況、年初来と同様、一旦下げ止まりへ

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は続落したものの、主に米ドル/円の急落、また5月31日の下落をもって下値リスクを再燃した。もっとも、先週に既述したように、週足では「インサイド」のサインが形成されていたため、先週末の続落をもって同サインの「下放れ」を果たしている。

本来これから大きな下落モメンタムを強めていくはずだが、目先の「オーバーシュート」の状況に鑑み、同サインが効かない可能性がある。

何しろ、先週末を含め75円台大台前後のターゲットの達成は計算どおりだったので、従来のロジックを証左したと言える。逆説的には一旦下げ止まりになりやすい水準に来ている。

同ロジックは、まずこの前の77円台半ばの割り込みで、4月の一時高値更新が「フォールス・ブレイクアウト」と証左したこと。

次に、元レンジに対する「倍返し」の75円台の下値ターゲットも推測されたことが正解であったことも、先週のコラム「米ドル/円は諸材料拮抗で保ち合い、豪ドルは中国経済への依存度が高く当面頭重い」の通り、先週末の続落をもってその「極み」を果たしたとみる。

さらに、5月7日の「スパイクハイ」のサインが鮮明であったので、「倍返し」の計算も同日高値から推測されやすい。先週末の続落を同下値打診の一環として見なす場合も、目標達成感が強い。ゆえに、短期スパンにおけるターゲットの達成があって、下落モメンタムの低下も推測され、安値圏での保ち合いが先行される見通し。

もっとも、米中対立の影響は大きい。対中依存度の高い豪ドル、対米ドルでは底割れを回避できたかどうかは焦点であった。先々週に続き、先週豪ドル/米ドルの底割れを確認できず、むしろ反発してきたので、豪ドル/円の下値余地を限定してくるだろう。

ただし、先週と同様、米ドル/円につられた側面が大きく、これから下落一服があっても、切り返しのモメンタムは高まらないだろう。しばらく弱い水準に留まると思われる。

さらに、既に強調したように、75円大台の打診自体でテクニカル上の地合いが大きく悪化させただけに、一時の戻りがあっても短期スパンにおける頭重さは変わらない。何らかの材料で一旦切り返しがあれば、レンジ取引の一環としてむしろ戻り売りの好機かとみる。また、材料次第の波乱も十分覚悟が必要だ。