米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.50~111.50

メインストラテジー:押し目買い

・米中対立は周期の長いテーマ、目先食傷気味
・ドルインデックスとの連動性もあり、調整子波の底打ちも
・米株との連動性もあって、切り返しの継続を有力視

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は3月安値を一旦更新したものの、一転して高く大引け、前回のコラム「米ドル/円、リスクオフ先行されても調整の一環と見なす」で指摘したとおり「大型レンジの形成が図られやすく、3月安値の割り込みがあっても、すぐさまベアトレンドへ復帰するとは限らない」ことが証明された。また3月安値に対する一旦下放れ、「フォールス・ブレイクアウト」だったことを暗示したとみる。

詳細を見てみると、「フォールス・ブレイクアウト」の示唆は110円関門のブレイクをもって確認されているが、5月13日~15日で形成された「インサイド」のサインやその後の上放れがもたらした値動きとして重視すれば、最初のサインが点灯されたとみる。

この場合、まず110円後半の打診を目指し、地合いの一段好転を目指すだろう。反面、110円後半~111円前半は強い抵抗ゾーンとして意識、打診があっても一直線なブレイクはなかろう。あくまでレンジ内の変動に留まり、また材料次第で再度波乱があってもおかしくなかろう。

既述のように、中間保ち合いの一環と見なした場合は、3月安値の一旦割り込みも4月の高値更新と同様、一時に留まったことは大型レンジの形成に寄与。市場センチメントにおいて、米中対立の長期化があっても目先の合意が破たんするという材料を織り込み済で、また食傷だったことも露呈されたとみる。

もっとも、昨年から米ドル/円は日米金利差よりも米株の動向との相関性を高めてきた。従って、目先米中対立の材料に振り回されるものの、米株のブル基調が続く限り、米ドル/円の「底割れ」はなかろう。半面、ドルインデックスとの連動性も強まり、クロス円経由の円高圧力になお晒される見通し。

ドルインデックスも目先高値トライの途中であり、近々高値を更新しよう。クロス円における円高圧力の継続、という意味合いでは米ドル/円の戻りを抑えるだろう。

いずれにせよ。短期スパンでは米中合意破裂の材料に振り回されたが、先週の切り返しが確認された以上、すでに落ち着きを取り戻したとみる。もっとも、米中合意の可能性はなお残存、材料次第一転大きく切り返しの可能性も。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:75.00~77.00

メインストラテジー:レンジ取引

・豪ドル、対ドルの続落につられ、円高継続
・中国経済への依存度が高く、当面豪ドル売りが継続される
・豪ドル/米ドル次第の側面は大きく、安値圏での保ち合いに留まるか

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大きく続落、75円前半の打診をもって先週提示したターゲットを達成したとみる。先週の既述のとおり、先々週77円台半ば以下の大引けをもって地合いの一段悪化を示唆したため、先週の続落をその延長線として考えられ、また75円台の下値トライは当然の成り行きだとみる。

何しろ、1月半ばから保ち合いを形成、77円台半ばはずっと支持ゾーンとして役割を果たしてきただけに、同ゾーンの割り込みは大きなサインを灯した。そのサインはほかならぬ、4月の高値更新が「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」だったことが示唆された。

この場合、80円関門以下のおける元保ち合いの上限に対する一時のブレイクが失敗、一転して大型保ち合いの下限を割り込み、「倍返し」的な下値余地の開きも警戒されたことは先週の既述のとおり、75円台の下値ターゲットも推測されたわけだ。

一方、短期スパンにおけるターゲットの達成もあって、下落モメンタムの低下も推測され、今週安値圏での保ち合いにつながりやすいでしょう。米ドル/円の切り返しもあって、今週の下値余地があっても限定的かと思う。

もっとも、米中対立の影響は大きい。対中依存度の高い豪ドルが、対ドルで底割れを回避できたかどうかは定かではない。この場合、結局豪ドル/米ドルの側面が大きく、米ドル/円の切り返しがあっても、豪ドル/円の下落一服があっても、切り返しのモメンタムは高まらないでしょう。77円関門~同後半は抵抗ゾーン、トライがあっても安易な回復はなかろう。

さらに、75円台前半の打診自体、テクニカル上の地合いが大きく悪化させた。従って、一時の戻りがあっても短期スパンにおける頭重さは変わらないだろう。何らかの材料で一旦切り返しがあれば、レンジ取引の一環としてむしろ戻り売りの好機かとみる。とはいえ、米中合意の可能性はなお残存し、材料次第で一転し大きく切り返す可能性もあるから、しばらく市況の波乱にご注意。