米ドル/円 日足

週間予想レンジ:109.00~111.00

メインストラテジー:レンジ取引

・連休明け後円の急伸は米中対立激化がもたらしたリスクオフの表れ
・当面ドルの頭を抑えるが、中間保ち合いの一環と見なす
・ドルインデックスも一旦頭打ち、クロス円における円高の圧力を緩和

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

GW連休明け後、円全体は大きく続伸した。米国の対中関税引き上げ発動で見られるように、米中対立が一段と激化、リスクオフの流れとして円が買われ、米ドル/円の地合いを悪化させた。年初安値を起点とした上昇波の途中におり、また中間保ち合いの一環と見なすが、地合いの悪化を受け、上昇トレンドの再開には時間がかかる公算だ。

先週の陰線引けや3月安値の一旦割り込みが確認され、4月の高値更新自体が示した「フォールス・ブレイクアウト」のサインも鮮明化してきたところは大きい。この場合、明らかに3月高値に対する一時のブレイクは「ダマシ」であったことが証明され、ここから反落を加速していく可能性がある。

半面、中間保ち合いの一環と見なした場合は、足元3月安値の一旦割り込みも4月の高値更新と同様、一時に留まる可能性がある。この場合は、米中対立の長期化があっても、目先交渉決裂という材料を織り込み済みで、むしろ一旦リバウンドしやすいかと思われる。

テクニカルの視点では、大型レンジの形成が図られやすく、3月安値の割り込みがあっても、すぐさまベアトレンドへ復帰するとは限らない。

もっとも、昨年から米ドル/円は日米金利差よりも米株の動向との相関性を高めてきた。従って、目先米中対立の材料に振り回されるものの、米株のブル基調が続く限り、米ドル/円も早晩上昇基調へ復帰しよう。

半面、すでに3月安値を一旦割り込み、ここからのリバウンドがあっても目先は限定的と思われ、また110円台半ば~111関門前後の抵抗ゾーンが意識され、当面頭重い展開になってくるであろう。

ドルインデックスも目先伸び悩み、米ドル/円との相関性を示しているが、クロス円における円高圧力の緩和、という意味合いでは米ドル/円の保ち合いに寄与するだろう。

いずれにせよ、短期スパンでは米中の交渉決裂の材料に振り回されややパニック的な値動きとなったが、これから徐々に落ち着きを取り戻し、一旦リバウンドしやすいかと思われる。もっとも、米中合意の可能性はなお残存し、材料次第一転大きく切り返しの可能性も。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:76.00~78.00

メインストラテジー:レンジ取引

・米対中関税引き上げの材料に刺激され、円高加速
・中国経済への依存度が高く、豪ドル売りの蓋然性も
・米ドル/円次第なので、中段保ち合いを継続の公算

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週も続落、77円台半ば以下の大引けをもって地合いの一段悪化を示唆した。もっとも、1月半ばから保ち合いを形成し、77円台半ばはずっと支持ゾーンとして役割を果たしてきただけに、同ゾーンの割り込みは大きなサインを灯す。

それはほかならぬ4月の高値更新が「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」だったことを示唆する。この場合、80円関門以下のおける元保ち合いの上限に対する一時のブレイクが失敗し、一転して大型保ち合いの下限を割り込み、「倍返し」的な下値余地の拓きも警戒される。

同計算では、75円台の下値ターゲットも推測され、当面下値リスクを警戒せざるを得ない。一方、年初来安値を起点とした上昇波の継続を前提に、4月の高値更新と同様、目先の下放れ自体が「ダマシ」になる可能性も否定できず、米ドル/円次第、大きな反転のサインを灯すかとも推測される。

もっとも、米中対立の影響は深刻であるが、対中依存度の高い豪ドルは、対米ドルでは底割れを回避する兆しを示し、一方的な豪ドル売りも想定しにくい。この場合、結局米ドル/円次第なので、米ドル/円の内部構造が、どちらかというと上昇途中の保ち合いという位置づけとなる。そのため、豪ドル/円の「底割れ」があっても、早期下値打診がなければ、むしろ下落モメンタムの低下が見られるかと推測される。

とはいえ、テクニカル上の地合いが大きく悪化した以上、一時の戻りがあっても短期スパンにおける頭重さは変わらないだろう。77円台半ば~78円関門前後はメイン抵抗ゾーンとして意識され、また当面豪ドルの頭を抑え込むと見なされる。何らかの材料で一旦切り返しがあれば、レンジ取引の一環としてむしろ戻り売りの好機かとみる。

こういった見通しはテクニカル上のリスクはあまりないように思われるが、ファンダメンタルズ上リスクを無視できない。もっとも、米中合意の可能性はなお残存し、材料次第一転大きく切り返しの可能性もあるから、しばらく市況の波乱にご注意。