何かを暗示していた日経平均週足チャートの窓

群集心理が総弱気に傾いたなら、相場格言「人の行く裏に道あり花の山」を思い出すべきです。昨年10月以降の株式市場の急落で、日経平均が下げ止まったのは12月25日でした。ちょうど、東証1部の騰落レシオ(25日)が65.6%で底を打った日でもあります。

騰落レシオは25日間の値上がり銘柄数の合計を、値下がり銘柄数の合計で割った指標のこと。一般的には120%以上になると過熱圏サイン、70%以下は底値圏サインと判断します。

特に、今回のように底値圏では実際の株価の安値と一致することが多いのが特徴です。ただ、それがわかっていても、底値圏で市場に入っていくのはそう簡単ではありません。世間的には弱気一色だからです。しかし、そんなチャンスは滅多にないのです。

滅多にない別の現象が見られたのは、以前「日経平均週足チャートに窓が開く」でご案内した、昨年12月25日安値からの反転上昇の過程で、日経平均の週足チャートに強気の窓ができたことです。窓は相場の転換点などによく出現します。しかし、すぐに下げて窓を埋めると弱い。また、窓は日足ではよく出ますが、週足や月足では滅多には見られません。週足では2015年以降でも数えるほどしかないのです。

【図表】日経平均(週足)
出所:マネックス証券作成

窓が強気の先行サインとして何かを暗示していたわけですが、最近、それを正当化しているのが、決算発表を終えた企業の株価の反応です。今期の業績を下方修正したにもかかわらず、悪材料出尽くしで株価が上昇するケースが目立ちます。

二番底試しで窓を埋めずにまた上に戻るか

ただ、ここから気を付ける必要があるのは、同じ反応はいつまでも続かないということです。今の株式市場は日米ともに上昇基調にあるため、悪いものはすぐに吸収してしまう。果たして相場が下落に転じても、同じ反応を続けることができるでしょうか?

いや、それは難しいでしょう。そろそろ業績が芳しくない企業の株価は下落する、そして相場全体も少し弱くなる、そんなフェーズに入っていくのかもしれません。俗にいう二番底試しです。

そこで、日経平均や個別株は窓を埋めずにまた上に戻ってこられるか、そうではなく、埋めてしまい再び弱さを示すのか。その違いによって、ここ半年間の相場の見方、個別株を選別する見方が随分変わってきます。

例えば、2月4日のソニーの決算発表に対する株価の大幅安での反応。2019年3月期通期の連結純利益予想を従来の7,050億円から8,350億円に引き上げると発表しました。半導体については、イメージセンサーの販売数量見込みを下方修正したようです。

ただ、これって、今の相場だと全然買われても不思議ではありません。決算内容を通じて、国内最大手の証券会社がレーティングはBuyを継続。外資系最大手の証券会社も高評価を続けました。それでも下げることはありますけど、ここまで下げるとは…。

結局、ソニーは年初につくった強気の窓を埋めてしまいました。これでチャート上のレーティングは引き下げとなります。