NISAを活用した積立がベストな資産運用の方法
2024年から新しいNISAが始まり、資産運用に関心を持つ人が増えました。このNISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を合わせて年間360万円、5年間で1,800万円までの税制優遇枠が活用できます。
どちらの枠でも投資信託の積み立てができるため、投資タイミングの分散を行うドルコスト平均法を実践できます。
現時点ではNISAの枠を使った積立投資が日本人の資産運用としてベストだと思います。問題は積み立てに活用する投資信託をどのように選ぶかです。
インデックス投資は負けにくい投資
資産運用の方法は大きくアクティブ運用とインデックス運用に分けられます。投資信託の資金流入額を見ると、最近ではインデックスファンドが圧倒的な人気となっています。その理由は運用成績とコストにあります。
アクティブ運用を行う投資信託の中で運用成績がインデックスを上回るものは、全体の半分以下にとどまっています。また、アクティブファンドはインデックスファンドに比べ信託報酬が高く、コスト面でも不利になります。
運用成績がインデックスファンドを上回る優れたアクティブファンドが存在するのは事実ですが、それを事前に選び出すことは簡単ではありません。2つの運用手法を比較すればインデックス運用の方が「負けにくい」投資だと思います。
インデックスファンドの中で資金流入額が多い人気の投資信託として知られるのが「全世界株式型」と米国を代表する株価指数であるS&P500に連動することを目標としている投資信託です。
「全世界株式型」の投資信託の配分は海外が多い
「全世界株式型」は、日本、先進国、新興国の株式を投資対象とするインデックスファンドのことです。1つのファンドで全世界の幅広いエリアに株式分散投資ができる商品のため、国別の配分を見ると日本株式の比率が低いことに気がつきます。
全世界株式型の投資信託だけで資産運用をすると外貨比率が高くなりすぎてしまい、円高に振れたときのダメージが大きくなってしまう問題があります。
「S&P500」は米国株に集中投資
米国の主要株価指数「S&P500」に連動する投資信託、米国の代表的な500銘柄の株式に分散投資を行うインデックスファンドです。
ここ数年の米国株の上昇で運用パフォーマンスは好調ですが、米国株式だけに資産が集中してしまうデメリットがあります。また、こちらのファンドも投資対象が米国株式のため外貨運用となり、円高になれば為替差損が発生することになります。
シニアにはインカム型の投資が必要
上述した2つのタイプに共通することは、どちらも株式型で外貨に偏った投資であることです。
特にシニア投資家の場合、外貨比率が高すぎるという問題だけではなく、株式の運用に偏ってしまうという問題も存在します。
個人の投資家は、年を重ねていくとともにキャピタルゲインを狙う株式型の投資の比率を下げ、その代わりに、債券や不動産を使ったインカム型の投資の比率を高めていくべきです。
なぜなら、年齢が高くなるとともに、値上がりによって資産を膨らませていく投資よりも、安定したキャッシュフローを得られるような投資の方がライフプランに合致した運用方法になるからです。
コロナショック(2020年2月)以降、株式市場はここ数年大きな下落を経験していませんが、過去に起こったリーマンショックのような事態になれば、急落してからマーケットが元の水準に回復するまでに10年近くの時間がかかることもあるでしょう。時間が限られている60代以上のシニアが投資する場合、リカバリーに時間がかかりすぎるという問題があります。
自分に合ったアセットアロケーションから商品を選択する
資産運用の商品選択は、単に資金流入額が大きい人気商品や過去のパフォーマンスが良いものを選べば良いわけではありません。自分の資産運用の目的に沿った商品を選択し、リスク許容度を考えた投資ができるようにアセットアロケーションを組んだほうが良いと考えます。多くの投資家が投資するからといって、自分の投資に向いているとは限りません。どのような投資商品で運用するかは、人によって各々異なってくるのです。