投資は短期で成果を求めると失敗する
個人投資家の資産運用アドバイスを長期に渡って続けていますが、昔も今も投資の手法はあまり変わっておらず、間違った運用方法によって資産を減らしてしまう人が後を絶ちません。
投資で失敗する典型は、短期で成果を求め、リスクを取りすぎてしまい、耐え切れないほどの損失を出して、マーケットから撤退するというパターンです。
逆に言えば、短期で大きなリターンを求めず、リスクをコントロールして、一時的に損失ができたとしても、投資を続けることによって、最終的に成果を出すことができるのです。
私が短期の売買を繰り返すようなデイトレードをやらないのは勝てる確率が低く、一部の例外を除きほとんどの人には向かない投資方法だからです。
長期で時間を味方に付けることが大切
長期で投資を続けるメリットは、最終的に経済成長によって得られる資産価値の増大の恩恵を受けられることです。
資本主義社会が経済成長を続ける限り、その中にある企業の価値も全体としては同じように伸びていきます。
マーケットの変動によって、一時的に個別の企業の価値が上下に変動する事はあっても、長期的にはマーケット全体の資産価値の上昇トレンドが変わらないことは過去のデータが証明しています。
このような経済成長からの投資の成果を得るためには、長期間にわたりマーケットに留まり、時間を味方につけることが大切です。
正しい投資のやり方を、時間をかけて続けていれば、いずれ成果が得られるようになるのです。
投資の継続に必要なのは、1.記録、2.習慣化、3.仲間
とは言っても、長期投資は成果が見えにくく退屈です。時間とともに飽きてしまい、おざなりになりがちです。
そうならないためには、続けるための様々な工夫が必要です。私は記録すること、習慣化すること、そして仲間を作ることの3つによって途中で挫折しにくくなり、長期投資が実践できると思っています。
1.記録:資産全体を把握できるシートを作る
まず記録です。自分の資産運用のヒストリーをまとめて後から見直すことができるようにしておくことが、続けるモチベーションになります。
具体的には自分の資産が現状どのようになっているか全体図を把握できる「資産管理シート」を作成することです。これによって資産全体を「見える化」します。
資産全体を俯瞰(ふかん)できれば、特定の資産に偏らず、バランスよく分散されているかを定期的にチェックすることができるようになります。
私は縦軸に円と外貨、横軸に金融資産と実物資産を配置して、2 × 2のマトリックスを作り、自分の資産を大きく4つに分類して資産全体を管理しています。
そこには投資信託や株式、債券、FXといった金融資産だけではなく、国内外の不動産や暗号資産、太陽光発電設備、ワイン、ウイスキーといった金融資産以外の資産も含めています。
2.習慣化:資産の動きをモニタリングする習慣をつける
資産の見える化は定期的に行うことによって、いずれ習慣化することができます。
「資産管理シート」は1回作成して終わりではなく、3ヶ月に1回アップデートすることを推奨しています。
年間4枚のアップデートされた資産管理シートを定期的に時系列で作成することで、お金の増減の推移やリスクの状況を知ることができます。
このような定期的な資産チェックが習慣化できれば、資産運用を途中で止めにくくなります。
3.仲間:投資の相談ができる仲間を作る
自分1人で投資を行っていると、新しい情報も入りにくくなりますし、マーケット環境が悪化したときの精神的なストレスも強くなります。
同じような投資を行っている仲間とネットワークができれば、投資手法の情報が入るだけではなく、メンタル面も安定します。
仲間と定期的に情報交換するような機会ができれば、投資を途中でやめてしまうこともなくなるでしょう。
私もかつてリーマンショックの際に資産が大きく減少して、投資が怖くなったことがあります。この時は、投資仲間と資産運用を続けるメリットについて確認することで、途中でやめることなく投資を続けることができ、その後資産を大きく増やすことができました。
投資の基本はこれからもずっと変わらない
マーケット環境は変わっても投資の基本は変わりません。短期の利益を求めるのではなく、時間を味方につけて、長期のリターンを着実に狙うのが投資の王道です。
そのために必要な仕組みを自分なりに工夫し、想定外の環境変化が起こっても続けられるようにしておきましょう。