NYダウ: 26062.12  ▼92.55 (9/17)
NASDAQ: 7895.79  ▼114.25 (9/17)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
先週末の米国市場は小幅に高安まちまちとなりました。米中の貿易協議が再開される見通しとなったことで一時65ドル高まで買われるなど午前中はプラス圏で推移していたダウ平均ですが、トランプ米大統領が追加関税を発動しようとしていると伝わると昼過ぎにマイナスに転じ77ドル安まで下落しました。その後徐々に下げ幅を縮めたダウ平均は引けにかけてプラスになると結局8ドル高の26,154ドルと4日続伸となっています。また、S&P500株価指数も0.8ポイント高の2,904ポイントと5日続伸となりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3ポイント安の8,010ポイントと反落となっています。
昨日の米国市場はトランプ米政権が中国製品への新たな追加関税を17日にも発表すると伝わったことで下落しました。小幅安でスタートしたダウ平均は下げ渋るとプラスに転じ30ドル高近くまで上昇しましたが、上値が伸び悩むと再びマイナスとなり午後は下げ幅を広げる展開となりました。取引終盤に124ドル安まで売られる場面もみられたダウ平均は結局92ドル安の26,062ドルと5日ぶりに反落して取引を終えています。また、S&P500株価指数も16ポイント安の2,888ポイントと6日ぶりの反落となったほか、ナスダック総合株価指数は114ポイント安の7,895ポイントとなり1%を超える大幅続落となっています。

2.経済指標等
先週末に発表された8月の米小売売上高は前月比0.1%増に止まり市場予想を下回りました。また、8月の米輸入物価指数は前月比0.6%低下し市場予想を下回りました。米輸出物価指数も前月比0.1%低下し市場予想を下回っています。一方で9月の米ミシガン大消費者態度指数速報値は100.8となり市場予想を上回りました。8月の米鉱工業生産も前月比0.4%上昇し市場予想を上回りました。設備稼働率は78.1%と前月から0.2ポイント上昇しましたが市場予想を下回っています。7月の米企業在庫は前月比0.6%増加し市場予想と一致しました。
昨日発表の9月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数は19.00と前月から低下し市場予想も下回りました。

3.業種別動向
先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち不動産や公益事業、電気通信サービスなどの7業種が下げ、不動産は1%近く下落しました。一方で金融やエネルギーなどの4業種が上げています。
昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち不動産や生活必需品、公益事業などの7業種が上げました。一方で4業種が下げ、情報技術と一般消費財・サービスが1%を超える下落となっています。

4.個別銘柄動向
先週末の米国市場では、決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったソフト大手のアドビ(ADBE)が2%以上上昇しました。また、小売りのシアーズ・ホールディングス(SHLD)も3%を超える上昇となりました。決算で赤字幅が拡大したものの、既存店売上高が想定ほど減らなかったことから買われました。一方で投資判断の引き下げを受けてコストコ・ホールセール(COST)が2%以上下げています。
昨日の米国市場では、中国で生産する製品が関税の対象となるアップル(AAPL)が3%近く下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。セクハラに抗議するため一部店舗で従業員がストを計画していると伝わったマクドナルド(MCD)も2%近く下げたほか、米中貿易摩擦への警戒感からボーイング(BA)も1%余り下げました。さらに中国従業員が顧客情報を外部に提供し見返りに金銭を得ていたと伝わったアマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%以上下げたうえ、目標株価の引き下げを受けてツイッター(TWTR)も4%を超える下落となりました。一方でイスラエルの後発薬大手テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA)が片頭痛治療薬で米当局から認可を得たと発表したことで2%以上上げています。

5.為替・金利等
先週末の長期金利は0.02%高い2.99%となりました。昨日の長期金利は変わらずの2.99%となっています。ドル円は111円台後半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は昨日の米国市場が下落したことや、日本時間の朝方にトランプ政権が中国からの輸入品2000億ドルを対象に第3弾の制裁関税を24日に発動すると発表したことなどから軟調なスタートが予想されます。利益確定の売りが出やすいなかで日経平均が下げ渋り23,000円台を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)