こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。アメリカ株式市場の動向を見る際、私たちはふつう「ダウ平均」を確認します。しかし、資産運用を仕事にしている機関投資家はまず「S&P500指数」を見るのです。S&P500指数とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出する株価指数であり、1957年に運用を開始しました。同指数は、米国の証券取引所に上場する代表的な500銘柄(24産業グループ)の株価を、時価総額比率で加重平均化したものです。S&P500指数は米国株式市場の時価総額のおよそ80%をカバーしています。同指数の組入れ基準は意外と厳しく、時価総額が61億ドル以上あること、評価日までの各半期における売買高が最低25万株あること、最低50%が浮動株であること、直近の四半期および直近の連続4四半期で利益が黒字であることなどが挙げられます。先月(6月)も「ツイッター」が新たに採用され、「モンサント」が除外となりました(銘柄の入れ換えは不定期に実施しています)。

少し時間軸を長く取って、同指数の「業種別比率の変遷」を見てみましょう。たとえば1979年当時、S&P500指数においてエネルギーセクターは約20%を占めていました。しかし、2017年末には約6%まで比率が下がります。同じく、素材も約10%から約3%へ比率が低下。逆に、ヘルスケアはその比率が約5%から14%に上昇しています。また、テクノロジーも9%からおよそ23%に比率が上昇しています。つまり、同指数はアメリカ経済のダイナミックな変化をそのまま取り込んでいるわけです。

今、アメリカ経済と述べましたが、実はS&P500指数の構成企業の「海外売上高比率」(2016年)は4割を超えています(43.2%)。この43.2%の内訳ですが、エリア別に見るとアフリカ3.97%、アジア8.46%、欧州8.13%、北米(米国除く)3.34%、その他19.3%となっています。業種別で見ると、エネルギー、情報技術、素材などは、海外売上高比率が5割を超えています(一例ですが、個別の企業ではエクソンモービルが約73.5%、アップルが約60%となっています)。

S&P500指数との連動を目指す代表格が「スパイダー S&P500 ETF」(SPY)(当社取扱い)でしょう。米国初のETFであり、純資産額はおよそ2,500億ドル。世界でもっとも大きいETFとなっています。ただし、年間の経費率では「iシェアーズ・コア S&P 500 ETF」(IVV)(当社取扱い)、「バンガード・S&P500 ETF」(VOO)(当社取扱い)のほうが低廉であり、ともに年0.04%となっています。国内市場に目を向けますと、米国のSPYが日本でも重複上場した「スパイダー S&P500 ETF」(1557)が挙げられます。また、日興アセットマネジメントが運用する「上場インデックスファンド米国株式(S&P500)」(1547)という選択肢もあります。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、S&P 500指数との連動を目指す金融商品の運用資産額は約3兆4,000億ドルに及び、世界中で普及している指数であることが分かります。同指数を通じて、米国のみならず、グローバルな経済の変化を見据えることが可能になるのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。