こんにちは。しんようFPオフィス代表のカン・チュンドです。日本の上場企業約3,600社のうち、東京都内に本社を置く企業はおよそ50%です。上場企業の本社を都道府県別に見ますと、1位 東京都、2位 大阪府、3位 愛知県、4位 京都府、5位 石川県となっています(換言すると、上場企業の半分は東京以外にあるわけです)。

ETFでは一国の株式を、その大きさ(時価総額)やスタイル(グロース・バリュー)で区分けするケースはありますが、地域で分ける例はほとんど見当たりません。今日ご紹介するのは、東海地方に本社を置く企業のみで構成される「東海ETF」です。正式名称は「MAXIS S&P東海上場投信」(1553)。当該ETFは、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県に本社を置く50の会社を組入れます。当該ETFは2011年に名古屋証券取引所に上場。「S&P日本地域別指数-東海-」との連動を目指します(米国の指数提供会社が日本の地域版指数を算出しているというのは驚きです)。

さっそく上位組入れ企業を見てみましょう。1位 東海旅客鉄道(JR東海)、2位 スズキ、3位 トヨタ自動車、4位 デンソー、5位 マキタ、6位 豊田自動織機、7位 中部電力、8位 アイシン精機、9位 ヤマハ、10位 豊田通商となっています。業種別で見ると、自動車産業のお膝元のため輸送用機器が約42%と突出しています。以下、2位 陸運業、3位 機械、4位 卸売業、5位 電気・ガス業となっています(いずれも8月31日現在)。

このような「地域特化型ETF」は海外でも十分考えられます。以下、筆者の願望ですが、たとえば「米国西海岸ETF」はいかがでしょうか。一例ですが、ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州に本拠を置く企業を組入れるのです(ワシントン州にはボーイング、マイクロソフトなどの本社が、また、カリフォルニア州はIT関連の会社が集積しています)。あるいは、インド南部のアーンドラ・プラデーシュ州、カルナータカ州、タミル・ナードゥ州などを包括し「南部インド株ETF」を作ることも可能でしょう。また、中国南部の企業に特化して「中国華南ETF」を作ることもできます。今一度、日本に戻ってみますと、地域として突出しているのは「京都府」ではないでしょうか。京都にはニッチな分野に特化した、グローバルな競争力を持つ企業が数多く存在します。

現にインデックス・ファンドでは、「京都・滋賀インデックスファンド」が存在します。当該ファンドは2005年に運用を開始。野村日本株地域別インデックスのひとつである「京都・滋賀インデックス」との連動を目指します。当該ファンドの上位組入れ企業を見てみましょう。1位 任天堂、2位 日本電産、3位 村田製作所、4位 京セラ、5位 ローム、6位 SGホールディングス、7位 オムロン、8位 島津製作所、9位 京都銀行、10位 日本新薬となっています(上位10社で組入れ比率の約7割を占めます)。また業種別では電気機器が46.4%と割合が高くなっています(いずれも8月31日現在)。筆者は「京都ETF」を組成すれば底堅いニーズがあると考えます。グローバル化が進展する世界は、同時に地域の「独自化」が進む時代でもあります。地域特化型ETFはまだ発掘されていないジャンルなのです。

コラム執筆:カン・チュンド しんようFPオフィス代表

しんようFPオフィス代表

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。