こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。国内市場に上場する「セクターETF」というジャンルをご存じでしょうか。東京証券取引所第1部に上場する全銘柄を、17のセクター(業種)に区分けしETFを組成しています。17種のセクターには、食品、エネルギー資源、医薬品、電機・精密、自動車・輸送機、電力・ガスなどがあります。今日ご紹介するのは運輸・物流の「NEXT FUNDS 運輸・物流(TOPIX-17)上場投信」(1628)です。運用は野村アセットマネジメント。当該ETFは2008年に上場しました。組入れ企業はヒトやモノを運ぶ会社です。まずモノを運ぶ会社として、組入れ8位に「ヤマトホールディングス」が入っています。同社は昨年、宅急便の基本運賃を値上げしました(適切な料金を設定することはどんな企業にとっても重要です)。12位には日本通運が入っています。今後Eコマースはますます発展し、荷物数は増加の一途を辿るはずです。
次にヒトを運ぶ会社です。その代表格はなんといっても鉄道でしょう。当該ETFの上位10社のうち、7社が鉄道会社となっています。組入れ1位のJR東海は、ドル箱の東海道新幹線を抱えます。しかし、ビジネス客に偏重した同線は、訪日外国人観光客の需要を満たしているとは云えません。一例ですが、新幹線には大型の荷物置き場がありません。あるいは海外サイトからの予約の迅速化、また「こだま号」の観光列車化など、収益を拡大させる施策はまだまだあるはずです。次に、1628の組入れ3位、4位にはANAホールディングス、日本航空が入っています。両社とも今より国際線の比重を高める必要があるでしょう。国連世界観光機関(UNWTO)によると、2017年には海外に出掛ける観光客が全世界で13億人に達し、2000年の6億7,400万人から倍増しています。国際線のビジネスクラスで日本流のおもてなしサービスの強化が図れるはずです。

次に、米国上場の「セレクト・セクター スパイダーETF」シリーズです。こちらはS&P500指数の全銘柄を、10のセクターで区分けした10本のETFから成り立ちます。運用会社は
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。セクターは一般消費財、エネルギー、金融、公共事業、生活必需品、不動産などに分かれます(不動産は2015年、金融セクターから分離される形で誕生)。今日ご紹介するのは、「テクノロジー・セレクト・セクター スパイダー ファンド」(XLK)(当社取扱い)です。当該ETFはS&P500指数の時価総額のおよそ28%を占めます。上位組入れ10社は、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、アルファベット(C)、アルファベット(A)、インテル、AT&T、ビザ、シスコシステムズ、ベライゾン・コミュニケーションズとなっています(3月31日現在)。上記10社で組入れ資産のおよそ6割を占めます。6月7日には、アメリカダウ平均が伸び悩む中、ナスダック総合指数が過去最高値を更新しました。ハイテク株に投資を行うETFには、ナスダック100指数との連動を目指す「インベスコ QQQトラストシリーズ1」(QQQ)(当社取扱い)がありますが、XLKのほうがより経費率も低く、組入れ銘柄も絞り込まれています。セクターETFは「少し大きめの個別株」として物色すると面白い投資対象でしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。