6月6日付けの日本経済新聞に、アステラス製薬(4503)が時価総額で武田薬品工業(4502)を逆転したという記事が掲載されていました。今年1月に約2兆3,000億円あった差が、足元急速に縮まっているようです。武田薬品工業の株価は、アイルランド製薬大手シャイアーの買収による財務悪化や、今期業績への懸念によって株価への売り圧力が一段と強まる展開となりました。一方、売上規模で同等のアステラス製薬は今期業績好調に加え、自社株買いにも意欲的で機関投資家に受けがよく、同社株に資金シフトが起きているのかもしれません。
そう言えば、以前、アベノミクス相場が加速し始めた2013年の年初に月足チャートを見ていると、アステラスの株価が大きく変わっていく感じ、武田薬品は2007年に付けた高値は当面上抜けない厳しさがある印象を受けました。今言うと結果論になってしまいますが、月足で長期の動きを見慣れると、その企業の将来性まで透けてみえる(感じる)ことがあるんです。

さて、新聞に上述したこういった記事が出ると、逆を考えたいと思うのは、少しひねくれた発想なのですが、ここからどうなるか、しばらく見ておきたいものですね。
図表は、武田薬品の株価をアステラスの株価で割った週足の相対指数です。1987年10月のブラックマンデー(暗黒の月曜日と呼ばれ、1987年10月19日にニューヨーク証券取引所から起きた世界的な株価の大暴落)が起きた週からのものです。9倍を超えていた2002年の秋ごろを起点に下落トレンドに変わり、ずっと低下し続け、6月8日現在では2.5倍程度まで低下しました。1992年3月の1.9倍程度には届いてないですが、中長期的には低下基調が一巡するタイミングに近いのかもしれません。

 

 

 

52週の平均(52週線)を基準にすると、足元はマイナス35%を超えており、過去と比べるといくらなんでも下方にかい離し過ぎで、短期的にも相対的に売られ過ぎです。
武田薬品の月足チャートをみると、今年の1月高値(6,693円)を起点とした急落波動は下値模索が続いています。ただ、ローソク足の陰線の長さが次第に短くなってきており、下げる力が少しずつ減退してきているようにもみえます。武田薬品の株価が本格的に立ち直っていけるのは随分先だと思いますが、アステラスとの相対指数でみたトレンドの変化の気付きは、短期底になるか、中長期の底になるかはわかりませんが、年内、どこかにチャンスはありそうです。

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