世界株安の震源地となった米国株式市場は、小型株やハイテク株主体のナスダックが再び史上最高値を更新し、ダウ平均も25日線が下げ止まる可能性が高いタイミングに入ってきました。S&P500は2月26日に付けた戻り高値をすでに更新しており、短期的に強いモメンタムが続く公算が大きい。といったように、テクニカル面では好転サインが増えつつあります。ティラーソン米国務長官解任による米朝間の緊張感の高まり、後任のポンペオCIA長官が対中強硬派であることへの警戒など、手控え要因を挙げると限がありません。

一方、東京株式市場は森友問題の政局への影響を懸念してか、円高を警戒してか、日経平均はさえない展開が続いています。ただ、3月5日安値(20,937円)を起点とした短期波動は高値と安値を切り上げており、短期テクニカル指標は次第に好転しています。

さて、日足のローソク足では2月27日の高値時に「十字足」、3月5日安値時にも「十字足」を形成し、分岐の転換サインとなってきました。今週に入り12日も「十字足」を形成しました。翌線となる13日は陽線を形成し、前日の寄り引け同時の水準を上回って終えました。つまり、12日の「十字足」は分岐の下げ転換サインではなく、目先のトレンドの「真ん中」を示唆している可能性がある。今週に入ってからの弱含みは「踊り場」を形成しているイメージです。もし、それが正しければ、5日安値から12日までの上げ幅の倍値の上昇が見込まれ、22,600円程度までは短期的に上昇が続くことが見込まれます。

一方、少し前 (第493回 需給の強弱)にとりあげましたが、東証1部の価格帯別累積売買代金を日経平均の500円刻みでみると、22,500円~23,000円では80兆円超と極端に膨らんでいます。その水準に突っかける可能性が出てきたということなのですが、売買代金の増加がみられなければ、当面の壁になることに変わりはないです。

ただ、日経平均も25日線がようやく下げ止まってきました。昨年の9月ボトムのようなパターンに期待したいところです。当時も6月~7月のもみ合い水準からいったん下放れたあと、200日線がサポートになるパターンでした。その当時も上述のように、上値に控えている累積売買代金をこなせないと高値突破は難しい、と深く考えたことがありましたが、あっさりと超え16連騰につながった経緯があります。

東野幸利 

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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