少し動きが不安定になってきたニッポン株。こう着相場に慣れていたせいか、8/9のように少し下げ幅が大きくなると、売りを出したくなる、それがさらに下げ幅を広げる要因になる、そんな動きだったような気がします。8/9の大幅安によって、日経平均は75日線を下回りました。でも、TOPIX(東証株価指数)は依然として75日線上を維持しています。株価と75日線だけで強弱を判断した場合、弱気サインとなった日経平均か、強気を維持しているTOPIXのどちらを今の日本株の実力とみるべきでしょうか。
国内企業の決算発表も来週前半で終わります。決算発表の内容によって、個別銘柄は大きく動きました。そういったこともあって、指数に採用されている1銘柄の変動で影響が大きくなりやすい225銘柄採用の日経平均と、東証1部の全銘柄が対象のTOPIXを比較しながら、チャートの相対分析をしたいと思います。

日経平均とTOPIXは、昨年11月のトランプショック時の安値を起点に、右肩上がりのトレンドラインをチャート上に引くことができます。TOPIXはトレンドラインの上方で推移しているのですが、日経平均の方は8/9の下げで先にトレンドラインまで到達してしまいました。このトレンドラインも75日線と同様、チャート上のフシとして株価のサポートになったり、上値抵抗になったります。なので、株価がトレンドラインを下回ると弱気、上回っていると強気維持と判断できます。つまり、日経平均はこのまま下回るとトレンドライン上でも弱気サインに変わりますが、このタイミングから反発してくると強気の見方が維持されます。
仮に、日経平均の当面の安値がトレンドライン上になるとすれば、日本株は即押し目買いとなります。日経平均の75日線割れは「ダマシ」となり、TOPIXが日本株の実力を示している、といえるかもしれません。逆に、日経平均がトレンドラインを下回れば、さすがのTOPIXも75日線を割り込み、トレンドラインをめがけて下げてくるでしょう。そして、TOPIXがトレンドライン上で反転上昇となれば、すでにトレンドラインを割り込んでいると思われる日経平均の安値を付けるタイミングとみることもできるでしょう。
しかし、日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は8/9現在、12.2倍です。年初の12.6倍から大きく低下しました。12.2倍とは、2016年1月以来の低水準です。2015年10月に一時12.1倍まで低下する場面もありましたが、それ以前の安値も2015年5月の12.2倍、同年2月の12.2倍と、今の水準は過去の安値の1つに到達したことになります。つまり、日経平均がこれ以上先導して下げて一段とNT倍率が低下すると考えるよりも、日経平均が先導して下げた分、ここから反発力が強くなることで、NT倍率は短期的には拡大に向かうと考えた方がよいかもしれません。つまり、日経平均がトレンドライン上まで下げたということが、近々にも日本株が反発に転じる目安になるかもしれません。とにかく、お盆休みを前にして重要な局面ですね。

昨年の同じ時期にご案内した「第423回 8月相場はお盆で決まる?」をご覧ください。お盆(8/13-16)を含む週の騰落と、8月の騰落(陰陽)には面白い関係があります。2000年~2016年までの17年間をみると、日経平均がお盆の週に上昇すると8月の月間のローソク足は陽線(始値よりも終値が高い)になる、お盆の週に下落すると8月の月間のローソク足は陰線(始値よりも終値が低い)になる傾向が出ています。アベノミクス相場に勢いがあった2013年と2014年、そして昨年は「番狂わせ」となりましたが、特に2000年から2012年までの13年間は見事にそうでした。
果たして来週の相場はどうなるでしょうか?

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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