2月に入ってからの東京市場の変化といいますか、気づきとなった点は、東証2部や日経ジャスダックなどの中小型株指数が2006年の高値を上回ってきたことです。アベノミクス相場で2006年~2007年当時の高値をすでに上回っていたのは、主要指数では日経平均だけだったのですが、新興指数にも追随する強気サインが点灯したことで、強気派にとっては援軍です。
ただ、こういった中小型優位の現象は日本だけではなく、以前、お話ししましたが、米国のダウ平均とナスダックの値動きに違いが生じる可能性がある点なども、今後の日本株に影響してくるのではないかと思います。両者は、2008年以降、同じように上昇してきたわけですが、ナスダックはITバブルの高値を上抜けたばかり。一方、ダウ平均は今の上昇波動の前の高値となる2007年高値を上回ってから、すでに46%程度上昇しています。つまり、今後の上値余地を考えた場合、過去に経験した水準から新値ゾーンに入ったばかりのナスダック、強いては小型株の方が上値余地は大きいといえます。これは世界の株式市場に通ずる、ヒントになりえるのではないかと思います。
東証1部全体を表すTOPIX(東証株価指数)を規模別で分けることができます。大型株を示す「TOPIX 100」でみると、バブル崩壊後の下落トレンドは依然として継続。一方、「TOPIX Mid400」は2006年当時の高値をすでに上抜けている。「TOPIX スモール」は2006年当時の高値に加え、最近の高値(2015年)も超えてきている。ということで、しばらくは相場全体の中身は中小型株が優位といえるかもしれません。表現は適切ではないかもしれませんが、小型株はボロ株も含め、バブリーな動きが起きうるかもしれません。
「TOPIX スモール」採用銘柄(1,500銘柄程度)のなかで、上昇局面における特定の株価水準の数を比べたものが以下の図表です。2002年12月からの上昇では300円未満の銘柄数が443→48に減少、2,000円以上の数は59→362に増えました。一方、アベノミクスが始まる直前安値から足元までは、2002年からの上昇とほぼ同値幅上昇していますが、2/20現在の途中経過でみると、2,000円以上の数は61→370に同じように増えていますが、300円未満の数は469→169までの減少にとどまっています。
株式併合だとか、いろんな要因はあるにせよ、低位株の底上げも波及余地があるといえます。
東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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