国内企業の4-6月期決算発表が始まりました。まだ社数は少ないですけど、決算サプライズによる動意を見極めようと、資金を温存しておきたい気持ちがあるのでしょうか、全体の商いは低調です。23日、先陣を切った日本電産(6594)が上方修正を発表しました。24日の株価はかなりポジティブな反応となりました。24日の朝刊を読んだ時点では、そこまでサプライズに動くとは思いませんでしたが、収益構造の転換といいますか、市場に対する見極めの速さは米国企業並み。各社アナリストの評価は高かったもようです。
24日付けの朝刊の業績欄で目に付いたのは、日本触媒(4114)です。あくまでも業績観測記事(実際の決算発表は8/6予定)ですが、4-6月期の連結営業利益は前年同期比で7割減。昨年9月末に爆発事故が起きた姫路製造所の生産回復が遅れ、主力の紙おむつ用樹脂や原料のアクリル酸化の販売が落ち込んだと書いてありました。ただ、4-9月期については、期初に発表した業績予想を据え置く見通しとのこと。
好調な日本電産と比べるのもどうかと思いますが、減益とみれば売り、か、買いたくない、のどちらかでしょう。これが大勢の意見です。しかし、どうでしょう。工場が爆発したのは昨年ですから、そのときの急落で業績悪化は織り込んだはずです。足元は減益だけれども、通期では減益幅が小さくなるのでは?と疑う気持ちが重要なのです。日本電産を24日の寄り付き8,100円(前日比710円高い)で買うより、日本触媒の寄り付き1,063円(前日比変わらず)を買った方が儲かるような気がしませんか?
全てのケースではないですが、特に決算発表シーズンの序盤は発表社数が少ないので、日本電産のように目立つ材料がでれば、寄り付き買いで大量の資金が集中しやすい。それを上回る規模の資金が入れば続伸しますが、入らなければ高値掴みのパターンです。日本触媒は24日の寄り付きで買いが集中しなかった分、当日は取引序盤から上値を伸ばす場面がありました。
私は職業上、株には投資できません。が、24日の新聞の材料で行動にでるとしたら、日本触媒の買い。失敗するかもしれませんが、上昇基調が当面続きそうな25日線でのサポートを担保に、そうしていたと思います。
さて、中国では金融緩和期待や景気下支え策への期待感が台頭し、上海総合指数は再び2000P台回復から直近高値が視野に入りつつあります。欧米株式が小休止の間に、中国発の情報に対する注目度がやや高まるシナリオもありでしょう。
東京市場では、「中国関連」という言葉自体が蚊帳の外といった状況。それがゆえに少し物色を考えても良いタイミングなのかもしれません。オーソドックス過ぎますが、新日鉄住金(5401)やイオン(8267)など注目です。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ