第276回「長い上ヒゲに勝てるのは長い下ヒゲ」と題し、5月の長い上ヒゲに対抗できる買いサインは「長い下ヒゲ」です、と強調しましたが、6月は現在のところ5月とは対照的に長い下ヒゲとなる可能性が高まってきています。
6月の終値が確定するまで、あと1週間程度あるわけですが、13,000円台後半ぐらいまで戻しますと、7月以降は悪くてもモミ合い? 下ブレ懸念は当面薄れるような気がします。
日経平均の月足の一目均衡表では転換線が9月に向けて13,000円ぐらいに上昇、順調ならば12月には14,000円ぐらいまで上昇しますので、そこらを中心にモミ合いが続くイメージを持ちます。ただ、5月の売買代金が75兆円できたことを考えると、モミ合いから年内のうちに上ブレといったイメージは、現時点では頭の中に薄っすらとしか持てません。

さて、6/14現在の3市場の信用残高は前週に比べ777億円増加し、再び3兆円台を回復しました。信用倍率(買い残÷売り残)は7倍台に乗せ、約13年ぶりの高水準。買い意欲旺盛はポジティブな側面ではありますが、経験則では買い残の増加は高値から最初の調整局面で増えやすいのです。買い残の多い銘柄ほど戻り圧力が強めに出る可能性があるため、全体がリバウンドするならば、買い残の増えていない、むしろ減少した銘柄を選別する必要があるかもしれません。

例えば、今期増益予想、買い残が6/14時点で前週比10%以上減少した、信用倍率4倍未満、テクニカル面では日経平均が直近安値でサポートになった「100日移動平均線」が上昇トレンドにある銘柄(6/18現在)を基準にしました。
その基準に当てはまり、25日移動平均線を下回っている銘柄から、キャンドゥ(2698)、KOA(6999)、クリエイトSDH(3148)、浜ゴム(5101)、シスメックス(6869)、旭ダイヤ(6140)、カワチ薬品(2664)、小森(6349)など。逆に、25日移動平均線を上回っている銘柄から、前田道(1883)、東鉄工(1835)、日立国際(6756)、積水ハウス(1928)、マキタ(6586)、東芝プラ(1983)、タダノ(6395)、イエローハット(9882)、良品計画(7453)などを選んでみました。6/18現在ですが、参考にしてください。やはり、25日移動平均線を上回る、前田道と東鉄工の"ツートップ"はチャートがいいですね。

6/19付け日経新聞によると、NTTドコモ(9437)が取り扱うスマホ、ソニーの「エクスペリアA」が発売後約1ヶ月の販売台数で64万台を超えたそうです。ドコモのスマホとしては過去最高のペース。サムスン電子の「ギャラクシーS4」も好調だということですから、このドコモの"ツートップ"効果が株価にどんな影響を及ぼすのか。
米国市場では、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)がいち早く高値更新です。リーマン・ショック直後の戻り高値6,800円を5月に少し上回り、短期的な調整局面にあるディスコ(6146)に注目です。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ