「第274回 ダウと日経、どっちが早い?」でお伝えしました、ダウ平均と日経平均のチャート上の節目である上値抵抗線です。ダウの方は右肩上がり(15,500-15,800ドル前後?)、日経平均は右肩下がり(16,000-16,300円?)というやつですが、両者とも既に達成したような動きになってきました。
日経平均は12,650円処(月足の一目均衡表の雲上限付近)~12,200円処が短期的な下値メド、主力株全般的に自律反発(一時的に戻る)に入る可能性があるとみています。変化日は6/7-10、6/17前後とみています。6/9(日)は新月でもあるので、その前後の取引日は注視してください。米雇用統計(6/7)や、中国の景気統計(6/10)、日銀金融政策決定会合(10~11日)など重要イベントが節目になるというやつかもしれません。
しかし、日経平均は中期トレンドの判断指標となる新値10本足が既に陰転しています。5月の月足が10ヶ月ぶりの陰線になったことは話題になりましたが、より重要なのは、長く伸びた上ヒゲの方です。上ヒゲの部分だけで2,104円の値幅があり、89年以降では最長レベル。実体部分(始値と終値の長さ)の極端な短さを考慮すると、厳しい反転シグナルにみえます。しかも、上ヒゲ足の場合、そのタイミングの出来高や売買代金が重要です。出来高や売買代金が過去に比べて極端に多い場合は、反転シグナルの確度が高くなるということ。5月は東証一部の売買代金が過去最高の75兆円を記録しましたが、上ヒゲ水準で参入した買い方がそれだけ多く、調整を長引かせる要因になりかねないのです。
5/23高値(15,942円)で上記の上値抵抗線を大方達成したとみれば、当面は調整が続くとの見方が適切のような気もします。そして、長い上ヒゲに対抗できる「長い下ヒゲ」が出現したときが大きな買いサインになるのではないでしょうか。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ