日経平均は11,500円処で上値がつかえており、個別ベースでも出来高が徐々に減少してきたものが目立ちます。バリュエーション水準が上昇したことに加え、金融緩和策や安倍政権の政策が織り込まれつつあることも、電気機器や輸送用機器、銀行といった主力業種の重荷となっているようです。
一方、TOPIXの11/14安値を起点とすると、業種別株価では小売や建設セクターの出遅れが顕著です。が、その小売セクターは、足元順調に下値を切り上げておりまして、主力業種が伸び悩む中でも、先んじて直近高値を更新してきているのです。
三市場の信用買い残は1兆9300億円(2/15現在)まで積み上がりました。売り残を買い残で割った信用倍率は3.38倍と12年5月25日以来の高水準。個人の株式ブームが始まった2003年後半以降、3倍を上回ってくるとTOPIXは概ね頭打ち、あるいは調整が長引く傾向が強い。というのは、よくご案内させていただいております。
小売セクターの高値更新は全体相場の短期的な調整を示唆しているのかもしれません。メガバンク株や証券株の上昇基調は中期レベルで続く可能性は高いですが、短期的には小売や建設、ソフト関連といったところの注目度が一層高まる局面ではないかと思います。
信用買いは主力業種に多く積み上がっていますので、高値から大幅に下げると需給悪化の要因となります。その反面、小売セクターは比較的不人気業種であるため、いつも買いが集中せず、需給のバランスは常に良好です。そのため全体相場の調整局面では逆行高となることもあり、足元も短期的にはそうなる可能性が高いといえましょう。
第259回「車や銀行もいいけれど」、で取り上げましたが、小売セクターでは株高による消費への波及効果を期待し、高島屋(8233)や丸井グループ(8252)、H2Oリテイリング(8242)などの百貨店株に加え、良品計画(7453)、エービーシー・マート(2670)、ケーズホールディングス(8282)などにも注目。エービーシー・マート(2670)やケーズホールディングス(8282)は、2/20に新値三本足が陽転してきており、リバウンド狙いの兆候も。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ