日経平均は3月15日の安値から急反発のあと、ひと押しありそうでない相場展開が続いています。様子見を決め込むなか、今度はなかなか下がらない株価に徐々に強さを感じ始め、上昇への期待感から下値買い。結果的にその行動がもち合い相場を形成している、といった印象ありですね。そして、昨日の日経平均は19日に形成した十字足(ローソク足では分岐点ともいわれる)からマドを開けた状態で陽線。反転を期待させるような動きとなりました。

しかし、国内では原発問題を始め、企業の決算発表の本格化、中国では金融引き締めに加え、景気減速懸念も台頭。欧州財務問題や長期化しそうな中東・北アフリカ情勢などいろんな材料があって、どれを重視すればいいのかわからない。米国ではインテルの決算が無事に通過しましたが、イースター休暇明けの相場の変化を気にする向きも多いとか。金や銀相場などは高値更新ですから、このあたりから崩れると、株式市場は少し動揺する可能性も・・・などなど考えてしまいます。予測が難しい情報が多すぎて、何もできない「決定マヒ」に陥っている状況といえましょう。

確かに、これだけ材料が並ぶと、どこに比重をかけて投資判断すればいいのかわかりません、海外投資家の判断待ちといったところでしょうか。

ところで、直近でも少し触れましたが、3月の海外投資家の日本株買いは凄かった。今日の日経新聞にも載っていましたが、地域別にみると北米投資家は9286億円の買い越し(単月ベースで過去4番目の多さ)。アジア系は5496億円の買い越し(単月ベースで過去2番目の多さ)だったそうです。ちなみに1月の北米投資家は3568億円の買い越し。アジア系にいたっては、160億円の買い越しにとどまっていたことを考えると、いかに震災ショックのときにアジア系マネーが入ってきたかがわかりますね。
3月第3週、海外投資家の買い越しが全体で9550億円だったと発表された当時から、アジア系ファンドの買いは言われていましたけど、ここまで多かったとは・・・

実は、米国内のETF(上場投資信託)市場でも同じようなことが起きていました。ナショナルストックエクスチェンジ(NSX)というところによると、3 月の米国の上場ETF市場における資金フローは111.8億ドルの純資金流入。昨年9 月以降7カ月連続で純資金流入となっているそうです。
ただ、内訳を見ると、国内株式(米株式)ETF が7カ月ぶりに純資金流出となった一方、海外株式ETF が3 か月ぶりに大幅な資金流入に転じたということ。しかも、国内株式型はロング型が資金流出に転じた一方、ショート型が資金流入に転じるなど、米主要株価指数が高値圏にある中で短期的な相場調整に備えた動きが見られます。
一方、海外株式ETF は新興国のインフレや金融引き締めに対する懸念もあって、年初以降は資金流出が目立っていたそうですが、ここに来て流れが変わってきたとも言われます。銘柄別に資金流入の順位を見ると海外株式ETF が上位に集中。なんと1 位は「ⅰシェアーズMSCI 日本ファンド」。すべてが米国マネーとは思えないですが、震災後の急落場面において割安と見た資金が大幅に流入したものと考えられます。

いずれにしても、世界で一番金回りが良さそうなアジア系マネー。東京市場、日本株の救世主になるでしょうか。次に出てくる四季報や会社情報などを眺めると、株主にそれ系が増えているかもしれません。それも投資判断の一つになるかもしれませんね。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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