デットクロスが示現・・・、日経平均は下落基調が続く25日線(7日、9749円)が200日線(7日、9819円)を下回ってしましました。デットクロスはネガティブですが、下値もなかなか堅いですね。値下がり銘柄数の多さなどを考慮すれば、売りか・・・、との見方もできますが、決して指数は弱々しい動きではありません。
しばらくは、ゴールデンクロス(25日線が200日線を上回りポジティブな動き)の時期を待たなければいけないのか。現在、200日線は9820円処の水準で横ばい。株価がここから大きく下振れしない限りは、横ばい基調が続くとみていいでしょう。一方、順調にいけば25日線が上昇に転じるまで9日程度かかる見込みなので、それまで極力下げない方がいい。9500円前後で踏みとどまることができるかが、短期的な上昇継続のポイントになりそうです。
過去の動きを検証すると、200日線あたりで相場のターニングポイントになっていることが多いのです。特に今回のように急落後の反発局面では上値抵抗になることも少なくないようです。バブル崩壊後の1991年以降でも、そういった局面は多数見られます。
しかし、大半の局面の200日線では下落基調にあるケースがほとんど。リーマン・ショック後の安値からの上昇局面のように、それを無視して上がり続けることもありますが、下落基調にある200日線に上値を抑えられて、再び安値を更新していく姿は何度もみられました。やはり、下にベクトルが向いている移動平均線を突破するには相当な力がいるようです。
だから、株価が足元横ばい基調の200日線を早めにかつ大幅に上抜けていくと、予想もしない展開に発展していく可能性があります。一度崩れた相場はそう簡単には戻りませんが、早期出直りならば、株価急回復もありえるということでしょう。ショック安から立ち直るのに時間がかかるというのが大方の意見ですが、相場は相場で動く、予想以上に強い株価に問いかける必要もありそうですね。意外とデットクロスを無視して、1万円トライはあるかもしれません。
震災による生産活動の停止や消費者心理の悪化によって、多少の企業の業績下方修正は織り込んでいるでしょう。ただ、下方修正が焦点ではなく、下方修正の度合いが予想よりも弱いケースを警戒しているわけです。新興国需要の堅調が維持されていれば、企業業績を牽引する成長ドライブは変わらないでしょう。米株は高値更新の勢いです。
逆に、予想したほど悪化していない・・・、となると株価はどうなるか。例えば、週初に発表された日銀短観の追加調査の結果は、こんな程度か? まだ、反応は薄いでしょうけれど、これから発表される景気指標や企業業績にも「こんな程度か?」が続けば、株価はどこかで急回復するでしょう。明日発表の景気ウォッチャー調査はどうでしょうか。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ