ウォール街「ラウンドアップ」。毎週土曜日、日経夕刊に掲載される経済コラムのことです。2月12日は、"10年前の「主役」が復活"・・・と題し、そこには通信装置メーカーの米企業JDSユニフェーズのことが紹介されていました。JDSユニフェーズといえば、2000年にかけての米IT相場の代表格。当時の高値から株価の長期低迷が続きましたが、経営努力や米情報化投資の回復を背景に、株価は年初来から2倍になったとか。
日本でも通信機器といえばLTE大本命のアンリツ(6754)。LTEとは、新たな携帯電話の通信規格のことです。同じく2000年の「大天井」3620円から長期低迷を余儀なくされましたが、2008年の安値172円を起点に反転上昇。2月15日の高値812円まで既に4.7倍にまで上昇しています。

昨年後半あたりから中小型株の上昇が続いています。特に元気が良かったのは、高岳製作所(6621)やチタン工業(4098)などのように、長期低迷のあと2005年前後の戻り高値を更新した銘柄群。節目超えで騰勢を強めたあとも、反動で大きく下げません。いつか、お話したように、225先物で売りを覚えた投資家が現物株でも売り方となり、売り買いのバランスがとれて、需給を大きく崩さないためです。
株価が長期低迷から、数年来の戻り高値を超える動きは、会社の変貌を裏付ける重要なサイン。アンリツも2004年高値894円超えると、下げの倍返しで1600円?ってことも、ありえないことではないでしょう。

大型株ではNTTドコモ(9437)のように、2000年高値で「大天井」をつけたあと低迷し、2006年~2007年の高値が比較的低い銘柄なども、上記とは少し違いますが、今後の上昇が予想されます。今日のNTTドコモは昨年4月高値をブレイクです。
日足チャートでみると結構上昇しているように見えますが、月足チャートでは底値圏の横ばい。60ヶ月移動平均線(5年平均)が160500円処を推移しているので、今月あと7日間で一気にそこを上回るような陽線が立つと、スタートか?2008年からすでに2年超上昇が続いている、ソフトバンクを後追いする動きになってくるかもしれません。

株というのは、その銘柄固有に上昇できるタイミングになければ、全体がいくら上昇しても上げは短命に終わってしまいます。日柄調整が十分でないと中途半端な戻り、ダマシにあうのです。その大きなダマシが上記で示した2005年前後の高値と思ってください。ダマシを超えた(戻り高値を超えた)銘柄はダマシを否定できる段階に入ってきているので、本格上昇への一歩を踏み出したことになるのです。
一方、2005年までの上昇がダマシに終わらず、本格上昇に進展していったのが、2007年~2008年の「大天井」まで上昇が続いた「新興国関連」です。なので、リーマンショック後の安値からの上昇はダマシの戻りが残るだけ?ここから本格上昇に入る銘柄を選ぶのが、勝てる条件になってくるように思います。
東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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