日本株は順調に上昇していますが、先物市場含めて取引時間中の値動きが乏しく、小さなサヤ取りでさえ、難しい相場展開となっています。きょうの日経225先物もそう。海外株高や円高一服を背景にもう少し上に伸びると思いましたが、序盤買いが続く場面はあったものの、先手買い一巡後には手を引くムードに。"上げ相場は努力相場"、新規材料に乏しいなか、一部の投資家の思惑だけでは目の覚めるような動きは期待できないのでしょうか。
さて、今年に入ってからは、「スマートフォン」や「電気自動車」、「原発」といったテーマや材料のある銘柄への"理想買いと現実買い"が目立ちます。一方、国内企業決算の発表は今月後半からスタート。足元の株価上昇も多少の業績改善を織り込みながらの動きだと思いますが、それらテーマや材料が実際に収益に乗っかってくるような銘柄には、物色がよりシフトしてくる可能性はありですね。
前回、「上がって欲しい株」をいくつかご紹介させていただきましたが、一部取り上げますと、メガバンク株の上昇基調は当面続きそうですし、個人的には地銀セクターの再編期待などに注目。昨年は安値更新が続いただけに、底上げムードになる局面もあるとみています。
主力株では長期低迷が続いているNTTドコモ。低迷が続いているといえば、村田製作所、京セラを中心とした電子部品株もそう。株価はIT相場の大天井(1999年後半~2000年前半の高値)から1/3以下で推移する銘柄も珍しくありません。それらに注目したのは、あくまでも2006年~2007年に大天井を付けた銘柄に比べて、今年の上値余地でみる限りでは大きそう、といった理由です。IT相場の大天井よりも2006年~2007年の高値が低いものですから、現段階ではまだ下げトレンドにある銘柄を逆張り推奨しているともいえます。
一方、ここ最近、各シンクタンクのレポートでも、電子部品株の新規カバレッジや業績見通しを強気に引き上げる内容が増えています。ただ感じることですが、業績面で強気を見通せる段階だとすれば、2006年~2007年の戻り高値を超えるような勢いがもう少し株価にあっても、おかしくないような気もします。日本株の出遅れが指摘されるなかで、ここから投資家が欲するものは、「出遅れ、上昇余地、理由付け」ですので、それに期待する内容は心強い面はありますけどね・・・
確かに、スマートフォン、タブレットPCなど新製品の市場拡大の恩恵を最も受けやすいのは電子部品株などでしょう。ただ、スマートフォンが携帯電話の買い替えよりも、ノートPCの代替品として位置付けているとすれば、電子部品全体の需要に新規需要を単純にプラスして考えるのも危険です。通話とメールは従来の携帯電話、ウェブやアプリはスマートフォンと使い分けている人もいますし、携帯キャリア各社もそういった料金プランを打ち出して取り込みを図っています。
個人的にも今年の東京市場はメガバンク株に加えて、電子部品メーカーが多い値がさハイテク株がある程度上昇しないと全体的に厳しいと思いますが、出遅れのリバウンドの域は脱しきれないとも思います。
将来、家のなかにある家電製品がすべて電子部品などでつながれる「本格デジタル家電」の時代、「電気自動車」の普及期などに入ってこないと、IT相場に見合うような上昇相場が示現するのは、もう少し先の話なのかもしれません。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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