12月1日、ソニーが約6ヵ月半ぶりに3000円台を回復、売買代金トップのトヨタは3%弱上昇。今日はソフトバンクが3年8ヵ月ぶりに3000円台を回復しました。師走相場は幸先いいスタートです。
一方、輸出関連株の目先の高値警戒感も気になります。トヨタが今日は買い一巡後にマイナス(前場引け時点)になるなど・・・・
例えば、ソニーの今年の日足チャートなどが、輸出関連株の動向を見るうえでのヒントになるかもしれません。5月14日に今期の業績に対するネガティブな見方から、チャート上で大きくマドを開けて急落。そのマド埋めの水準が3110円。今日の前場高値は3090円なので、マド埋め達成に近く、そろそろ買い一巡が意識されても不思議ではないのです。
そこで、出遅れた金融(メガバンクや証券など)や通信、海運、鉄鋼セクターなどへの買いが意識されるようになってくれば、相場全体としては堅調が維持できそうです。

さて、日経平均をTOPIXで割った指標にNT倍率というものがあります。一概には言えませんが、上昇局面では日経平均が優位、下落局面ではTOPIXが優位となります。
現在は11.53倍と、年初の高値(11.64倍)近くまで上昇していますので、その指数自体の高値警戒感で下落するとみると、金融系に資金シフトが起きる可能性があります。 
日経平均の動きは輸出関連・ハイテクなどの値がさ株による影響が大きいのに対して、TOPIXの動きは時価総額の大きいメガバンク株や内需関連株による影響が大きいからです。なので、金融などに資金シフトすると、TOPIXが上がりやすくなり、NT倍率も低下するという理屈になります。
個別株の動向やNT倍率のような一つの指標の動きで、相場動向を探ることも重要でしょう。

今週から師走相場入りとなっていますが、日経平均の過去の12月の相場はどうだったでしょうか? 1990年~2009年までの20年間では、「陽線」(月初の始値に比べ月末の終値が高い)が12回、「陰線」(月初の始値に比べ月末の終値が安い)が8回となり、12勝8敗。
そこで、12月の月足「陰陽」と年足の「陰陽」は一致しやすい、というのは有名な話です。なんと、過去20年間では、12月の「陰陽」と年足の「陰陽」が一致したのは20回中で17回もあります。つまり、年間通じて高いときは12月は高い、年間通じて安いときは12月は安い、12月高い年は年間通じても高い、といった傾向が強くあります。
 
日経平均の12月1日の始値は9939.80円。それを月末値で上回れば月足は「陽線」です。しかし、年初の始値は10609.34円ですので、あと少なくとも670円程度上昇しなければ、12月の月足の「陽」と年足の「陽」は一致しません。
8月安値(8824円)~11月末(9937円)までの3ヵ月で、既に上昇幅にして1113円、率にして12.6%上昇しています。この先さらに、幅にして670円超の上昇、率にして6.7%超の上昇率が実現できるかどうか。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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