バブル後安値から4月高値までは38.2%戻し。日経平均は昨年3月にバブル崩壊後の安値7054円をつけて、今年4月高値11339円まで上昇しました。2007年7月高値18261円からバブル後安値までの下げ幅11207円の38.2%は4281円。バブル後安値から4281円上昇した水準が今年4月高値にほぼピッタリということです。
「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・・」、これはフィボナッチ数列。最初の4つの数字を除いて、どの数字も下の数字との割合が1.618に近くなる。ご存知の通りの黄金分割比率です。そして、最初の4つの数字を除いて、どの数字も2つ上の数字との割合は38.2%に近くなる。そういった数値が実際のマーケットでは、売買の判断や上値メド、下値メドの見方に使われます。

さて、バブル後安値から4月高値までの上げに対して、38.2%押しの水準は9700円。とっくに過ぎていますから、61.8%となると8700円になります。直近安値は8月31日の8824円ですので、ここから下げてもそんなに深くない、といった見方も出来ます。ここから調整がまだ続くとも言い切れないですが・・・

ところで、バブル後安値から4月高値までの上昇が、実はもっと大きな上げのなかのより小さな上げに過ぎないと仮定した場合、次ぎの小さな下げは今年4月高値から現在の調整局面との見方ができます。
ある有名な理論で、その上げと下げの特徴をあてはめてみますと、最初の上げは未成熟な上げ、疑心暗鬼の上げといいましょうか、主に売り方の買い戻しなどによって形成されるとしています。そういえば、昨年3月25日時点(バブル後安値の近辺)でも、買い残よりも売り残全体の方が多く、売り方の買い戻しで上げ相場に入る兆候はあったんですね。 また、マーケットを取り巻く情勢としてはネガティブ要因が多く、市場心理は何となく弱気。強気相場が始まったといった認識はなく、単なる戻りと解釈される場合が多いらしいのです。
その上げを調整する下げは、最初の上げで買った投資家の持ち株の投げや、見切り売りなどで生じる動きで、上げ幅に対して50%~61.8%の下落率になることが多いということです。最初の上げのほとんどを帳消しにするぐらい、深いときもあるそうです。
心理的には弱気筋が元気になる局面、ファンダメンタルズがいいという状況でもなく、マスコミも弱気。

現実、欧州の金融機関の債務問題に対する懸念がまた出てきたり、円高懸念だのデフレなどと悪い材料ばかりが目立ちます。下げ相場だから悪い材料が支配して当然なのですが、ある有名な理論と似てるといえば、似ているかも。その理論では調整のあとの次の上げの方が、最初の上げよりも力強くなるとしていますが・・・

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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