やはり気になる信用買い残の重し。好材料も需給好転が伴ってのもの。政策もタイミングが重要なのでしょう。多少の下値不安は遠のく格好になるかもしれませんが、まだまだ本格反転には気の遠くなる話です。
東証が発表する三市場の信用取引残高で、信用買い残の減りが鈍いのです。信用買い残とは、信用取引で買ったあと、売らずに未決済の状態で残っている残高のこと。最近は小さく増えたり減ったりで、先週27日時点の残高は1兆8464億円程度。直近ピークであった6月の2兆288億円からすると減ってはいますけど、問題は日経平均が高値を付けた4月5日からの下落局面で買い残が増加している点。
買い残の量、全体そのものは太くないのですが、特に大型株でしょうか、今後の潜在的な売り要因として、戻り相場の重しになってくるでしょう。
その買い残全体(1兆8464億円)を売り残全体(5861億円)で割った水準を見る貸借倍率といった指標がありますが、現在3.15倍。その比率が高ければ高いほど、潜在的な売り要因が大きいといった判断ができます。
例えば、日経平均の03年4月安値~04年4月高値まで上昇した局面では貸借倍率は1.0倍から3.3倍まで上昇しましたが、先日ご案内しましたように、次に04年4月高値を超えるのに17ヶ月ぐらいかかっています。郵政解散をきっかけにした大相場が始まるタイミングは2.0倍を割り込んだあたり。また、2006年2月の段階(18300円高値)でも3.7倍程度まで上昇したあとは1年間ほとんど上がらず。逆に、半年後に下落に転じたケースでした。
今回も2.0倍という水準は参考になるでしょう。簡単に計算できますので、やってみてください。買い残全体と売り残全体は、「日経新聞の17面、マーケット総合2」のまん中よりもやや下の方に毎週、第2営業日(火曜日が多い)に掲載されています。
あと、指標で注目は騰落レシオ。期間設定は自由なのですが、大体、過去25日間の値上がり銘柄数の合計を値下がり銘柄数の合計で割って求めます。120%以上で過熱、70%以下は底値圏とされています。けっこう過熱圏で話題になりますが、実はボトム圏で効果を発揮する指標なのです。9月1日現在、東証一部の騰落レシオは76.2%(25日ベース)とボトムを示す水準。これは好材料です。きっかけさえあれば上がるのに・・・市場参加者の心の中はボトムではないのでしょうか。いや、ボトムと思って買っても、重しで全然上がらないのでしょう。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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