円高は本当に業績や株価の下押し要因の主たるものになりえるのでしょうか?今回、決算発表が終了したソニーを例にとれば、第2四半期以降のユーロに対する前提為替レートをさらに円高方向に修正(125円→110円)としながらも、通期営業利益見通しは上方修正。そういう話しを聞くと、過度な円高警戒感は薄れましょう。これからも新興国需要をよほど強気にみているのでしょうか。
以前、ご紹介させていただいた「社長100人アンケート」のなかで、2010年度の経営課題として最も回答が多かった意見が、「新興国など海外事業の拡大」。それに対して、一番少ない回答が「為替変動への対応」ということでした。企業にとっては為替は意外と関心度は低いのか。
商取引における為替損益の影響って、個人ベースではなかなか掴みづらいですよね。個人だったら急激な円高で喜んで海外旅行に行くものの、調子にのって買い物ばかりしていると円高になる前とお金の支出は結局同じ・・・そんな感じなのかもしれません。

今回の決算、ほかの外需型企業でも円高で目減りする分を、新興国需要やコスト削減などで吸収する構図が確認できます。今やどこもかしこも新興国頼み。アンケートのように最重要項目に上げるところが好調であれば、先行き強気にもなるでしょうけど、ただ今回、欧米景気の減速懸念が過度な強気マインドを抑える役割になっていて、通期見通しに関しては慎重スタンスがほとんど。なるほど、通期も上方修正として一気に好材料が出きってしまうよりも、据え置きとして、あとから徐々に修正含みとなるほうが着実に伸びてる感じがするか~と私はかなり楽観的かもしれません。

ウォール街の相場格言に、「強気相場は、悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成長し、幸福の中で消えていく」というのがあります。懐疑(慎重スタンス)の中で育ってくれればいいのですが、幸福(新興国絶好調)のなかで消えていく、といった具合にならないことを祈るばかりです。

日経平均の9月のパフォーマンスは東証再開後から平均すると12ヶ月のうちでは最悪。今年も9月が悪いのであれば、きっと8月から兆候がでるはず。今月は正念場だろうといった見方ができます。
さて、5月25日安値からもみ合いが続いています。タイミングは8月16-17日頃(12/7高値~3/4安値の59日間を5/25安値から先にあてはめた日柄)だと思いますが、上に放れるか(懐疑の中で育ち)、下に放れるか(幸福のなかで消えていく)。
もみ合いの最大値幅となる6月21日高値から7月前半安値までの中値9670円処が重要なポイントで、その水準よりも上で推移するか、下で推移するかは、その後の動きに影響しそうです。
一方、昨日は5月25日(9459円)から基本数値の51日目。基本数値のタイミングでかつ5月25日とほぼ同水準の終値(9489円)に収まってきており、そういった意味では、きょうの動きなども注目すべき点はあったのですが、やはり9670円処からなかなか上にいけない。そこを明確に超えられるかが、来週前半までのポイントでしょう。
                                 以上
東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ