欧州の銀行を対象に実施されたストレステスト(健全性審査)。査定の前提条件が不十分だとか、甘い査定の先送りでどうのと、日曜日あたりの新聞には弱気筋を含めたいつもながらの批判のご意見がずらり。
それを受けた週初の東京市場。イベント通過はさほど好材料視される雰囲気はなく、海外株高を好感する程度の動き。
でもあっという間に、きのうは日経平均9700円台回復。年初来高値まであともう一歩、とはまだいかないものの、景気減速懸念が強く意識されてきたなか、ここで値固めができれば、まずまず強いとみるべきでしょう。
やはり、ここに来て元気が出てきた、メガ三行の動きが気になりますよね。チャート上で短期トレンド転換をみる新値三本足。みずほに続き、きのうは三菱UFJなども陰から陽へ転換してきました。あとはきのう引け後に決算発表のあった三井住友だけ。メガ三行揃って陽転すると、相場の雰囲気も少しは良くなってくるでしょう。
その三井住友はきょう1円高の2680円でも陽転が実現していたのですが、引け前にそのボーダーライン前後で1円、2円の攻防。残念・・・・2679円の変わらずで引けてしまいました。といいますか、メガ3行とも変わらずの引け。パナソニックの増資報道が相場を冷やすかたちになったのか~三井住友、あすの陽転に期待したいものです。
この反発局面が目先続くとすれば銘柄選別は重要。物色動向が変わるかもしれないと、先週末、500銘柄程度を週足チャートでチェック。
高値からの調整でリーマン・ショック直後の安値に対して二番底を意識して反発している銘柄や、着実に右肩上がりで上昇が続いているもの、横ばいで推移しているもの、下値を切り下げながら調整局面にあるもの、いろんなパターンのものがあります。
なかでも印象に残ったのは化学株の一角。高値圏で強含むものが多く、比較的先高感ありの印象も・・・。業種的にはかなり地味ですし、個人投資家にしても業績がよかろうが、なかなか目の向くセクターではありません。ただ、それだけに買いのシコリが少ない。
全体的には信用残が重しになっている相場環境だけに、銘柄選択を間違えたらどこかで引っ掛かる。シコリが少ない理由だけでも、強含む要因になると思われる。
日本の化学会社は今やエレクトロ二クス産業の要。選択と集中を進めて儲かる特定事業に集中投資し、ハイテク部材などは世界シェアトップの製品が意外と多いのです。
携帯関連の部材は大半が日本の化学メーカー。エレクトロニクス製品の組み立ては台湾や韓国などのアジア勢が昨今凄いですが、世界の液晶テレビや携帯電話などの技術の大半は日本の化学業界に頼るところが大きいのです。
日本ゼオン(4205)が今期業績予想の上方修正を発表したあと急騰しています。修正要因は、タイヤ用合成ゴムや光学レンズ用途・医療用途向け高機能樹脂、光学フィルムなどの販売伸長、などらしいのですが、ここまで上がるのも株価が比較的高い位置で推移していたことや、信用残の売り買いが拮抗していたから。株価ダラ下げで信用買い残が極端に多い銘柄はこんな動きはしないと思います。
東ソー(4042)、電気化学工業(4061)、日本触媒(4114)、ダイセル化学工業(4202)、住友ベークライト(4203)なども面白そうです。
以上
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ