四大国有銀行の一角、中国農業銀行がきょう上海市場に上場しました。A株公募価格2.68元に対して、2.24%上回る2.74元が初値。何というか、ややしらけムードですね。機関投資家の間では1割程度上回る3元前後に落ち着くとする向きが多かったそうですから。 
ただ、この先の外国人投資家のターゲットは香港市場、あすの香港市場への重複上場の動きの方が重要かもしれません。

ユーロドルは逆三尊で目先底打ちか? 米決算発表はまだ始まったばかりですが、よさそうです。米経済指標はさほど悪化していない様子で、あとは中国市場の動向次第でしょうか。中国株は出遅れ気味、不動産価格の下げは実体経済に影響してきます。需給面の不安を抱えながらも、日米欧の主要市場にキャッチアップできるかがポイントとなりそうです。

さて、みずほ株の公募価格の決定、来週にかけての米金融機関の決算発表、欧州銀行の資産査定(ストレステスト)の結果など、そのあたりが通過したあとはどうなるか?銀行を取り巻くイベントがこんなに集中するタイミングは1年通じてもそんなにないでしょう。
上がる上がるといい続けた狼少年の私。やっぱり、最近まで安値を更新してきたメガバンクの動きが気になります。

ただ、株価の動きをみると、もしかすると「あのパターンか?」の動きに似てきているようです。あのパターンとは、任天堂が安値から立ち上がったときの動き。2008年12月の戻り高値からゆっくりと高値と安値を切り下げながら収束し、大陽線で上にブレイクするまでは1年程度かかりましたが、それはきっちりと定義付けられている「ウェッジ型」の株価パターンなのです。
まさに今のメガバンクは、そのパターンに向けて動いているような雰囲気も・・・少し早いかもしれませんが。
高値と安値を切り下げながら収束していく「ウェッジ型」は一見すると、先安を懸念させますが、株価のボトムで発生することも多くて、いつか目の覚めるような逆方向の動きをしてきます。

上昇が続いたあと、高値と安値を切り上げながら収束していく「ウェッジ型」は、エリオット理論では第5波動にみられる「ダイアゴナルトライアングル」と同じ弱気解釈。難しそうなネーミングですが、傾斜三角形のことです。日経平均では2007年の動きなどがそうでしょうか? 3月5日安値~7月9日高値までを、そのパターンと指摘する声もありました。高値のあと下落に転じたパターンだったのです。
逆に、下落が続いたあと、高値と安値を切り下げながら収束していく「ウェッジ型」は、強気解釈につながる可能性大。信用買い残などをみると、メガバンク、感覚的にはまだどうかなぁ~と思う点はありますが、イベント通過で需給改善に向かうかが、市場参加者の注目点となりそうです。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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