下げトレンドから上げトレンドへ転じたか? 最もシンプルな見極め方は、株価が下降トレンドラインを上回ったかどうかでしょう。株価が下落する過程では、切り下がる高値をつないだ下降トレンドラインは当然下向き。株価が下降トレンドラインの下で推移していれば下げトレンド継続。株価がその下降トレンドラインを下から上抜ける(ブレイク)ことで、下げトレンドから上げトレンドへの転換を認識することになる。今の局面では、週足などでより長めのトレンドを見ることが重要で、週足の一目均衡表などを併用すれば、さらに信頼性は高まるでしょう。

一目均衡表では株価が雲を上抜ける段階に入ってくれば、長らく続いた下げトレンドから上げトレンドへの転換の可能性を最初に認識する段階になってきます。「雲」とは上値抵抗や下値支持の力が強くなる価格帯のことで、一目均衡表の5役(転換線、基準線、遅行線、先行スパン1、先行スパン2)のなかの、2つの先行スパンで囲った部分のことです。
下げトレンドが続く場合、一時的な部分はともかく、短期的な反発ならば雲に上値を抑えられ、雲の下での推移が続くものです。雲を上抜ければ戻り売りをこなし、より上値が軽くなりやすいといった解釈になる。一目均衡表で有名な三役好転という3つの強いシグナルのうちの1つですね。
雲を上抜けた勢いでさらに上昇したあと、反対に雲に向かって下げたとしても、今度は逆に雲をサポートに反発できれば、上昇トレンドを追認することができるのです。

リーマン・ショック後の安値からの上昇過程では、週足ベースで雲を上抜けた銘柄は多く、それまでの下げトレンドに変化が生じたと思われる銘柄は少なくありません。
ただ、4月高値までの上昇の反動により、現在は雲に向けて下落している銘柄が大半。(1)ここから雲をサポートに反発できるか、(2)雲に到達する前に反発するか、(3)雲を下回った状態から軟調な動きが続くのか、の見極めが重要な局面なのです。
例えば、(1)はソニー(6758)、ホンダ(7267)、コマツ(6301)など、(2)は丸紅(8002)、キヤノン(7751)など、(3)は住友金属鉱山(5713)やトヨタ(7203)、新日鉄(5401)、あと金融株に多いです。もちろん、このようなパターンだけではありません。ソフトバンク(9984)や前々回ご紹介しました、伊藤忠テクノソリューションズ(4739)などは雲を越えても、ビンビンと上昇が続いています。特に、ソフトバンクはすでに雲をサポートに反発して、次ぎの段階に入っているような・・・。
もちろん(1)と(2)に注目です。ある限界点を超えて下げすぎた銘柄は戻りもたいしたことないでしょう。この4月高値以降の下落局面での押し目買いは、適切な見極めを・・・。雲はビジュアル的にも見やすく、上手く使えば、売買への有効性は高まると思います。きっと、雲に絡めた分析はもっともっと奥が深い!私は日々、雲とにらめっこが続きます。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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