全然、戻らない相場ですね。海外株次第といったところもあるでしょうが、日本株はタチが悪いので、外国人投資家が買わないと、いつも一本調子の下げ。「あれ~戻らないのか?」と青ざめたときが、底打ちシグナルです。

気になるのは、東証が毎週第二営業日に発表する信用取引残高で、信用買い残が増加してきている点です。信用買い残とは、信用取引で買ったあと、売らずに未決済の状態で残っている残高のこと。先週末まで5週続けて増加傾向で、残高が1兆9000億円と2008年9月第1週以来の水準、つまりリーマンショック直前の水準まで積み上がっている状況です。
昨今、個人はより短期指向が強くなっており、信用買い残の増え方、そのものは大きくないのですが、4月高値以降の下落局面で増加しているのが気になるのです・・・。個人投資家は逆張りの傾向があり・・・とよく解説されますが、下落局面での逆張り買いはリスク大きいですからね。
上昇が続くような好地合いのときは安くなる局面で買えば、少々下がっても我慢して持っていれば、買い値まで戻り利益が出て儲かっていた。その買い方の利益確定売りに対しても、新しい買い方が出てきて下がらないし、新規で信用売りなども出てきますけど、既に売っていた分の買い戻しなども加わって、売りを上手く吸収しながらの上昇相場でしたから、そう簡単に需給が崩れるものではなかったのです。

これが買っても買っても下がる地合いになったときは要注意。つまり、高値から安いと思って買った株が利食えない状況になってきたらどうでしょう。反発局面でもやれやれで売りたくなるので上値を重くする要因にもなりますし、日経平均で1万円を大幅に割り込んでくる状況になりますと、評価損が拡大して投げ売りが増えてくる可能性だってあるかも・・・。実際はそうでないですが、理論的には売り残は買い戻す、買い残はいつか売らないといけないわけで、今後の潜在売り要因として相場の重石になってくるという見方です。

しかし、そんなのは実際大した影響ではなく、相場の本質的なところではありません。株価がどっちに行こうとしているかを見極めなければ・・・。下げるときは暗いし、悪い材料、悪いコメントばかりに、洗脳されてはいけません。日経平均の週足の一目均衡表では重要な基準線が10242円を横ばいで推移しています。その基準線は来週から4月高値を付けた週以来、上昇に転じる見込み。そのタイミングで反発に転じことができるかに注目しています。
その期待をより強めるためには、あすの週末終値でその水準まで戻せるかがポイント。結構ハードルは高いですね、高いから実際にそこまで戻したら、かなり凄いと思ってください。逆に目先の下は、あっても9850~9770円とみています。

6月前半に向けて反発できるような状況であれば、外部環境もやや落ち着いているでしょうし、ここのところの株価の下げで今期業績を基にしたPER(株価÷1株利益)が18倍程度まで低下していますので、もう一度好調な企業業績を織りこむ動きになるのでは・・・・。
ただ、その戻りが4月高値に対する二番天井や一時的な戻り高値になるケースもありますので、深追いは禁物です。戻りが鈍ければ、再度下落が考えられますが、戻りが予想以上に大きいと、そこから8月までもみ合いパターン、になっていくのではないかと、シナリオしています。その戻りのポイントは10800円-11000円。やはり、ハードル高いです。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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