新興市場株の下げ、もういいんじゃないでしょうか。途中、反発もなく毎日下がっていますが、日経ジャスダック平均は18日まで10日続落、今年の1月30日から2月13日にも10日連続安というのがありましたので、それ以来ということになります。
一方、マザーズ指数も18日の下げで12日続落。直近では2008年9月22日から12日連続で下げたことがあります。
チャートを見ると理屈関係なしといった下がり方ですが、この先はどうでしょう。7月安値からの急反発のようなイメージにはならないでしょうか・・・。もちろん、今年の高値を更新できるほど大きなものではありませんが、要するに下げすぎた反動による急反発です。
誰が売っているのでしょうか。個人投資家の投げ売りで下げていると一部聞きますが、本当にそうでしょうか。そんなに売りが出るほど新興市場株を買っている人は少ないと思うので、売りはそうないと思いますが、・・・。東証一部の銘柄でも3月安値以降の上昇で十分利益が取れたわけですから、持っているのは・・・昔から新興市場株オンリーで手掛けられている方ぐらいではないでしょうか。
リーマンショック以降の急落を経験したあとだけに、安定志向が高くなり、流動性の高い株にシフトするでしょう。わざわざリスクをとって新興市場株は買わないと思います。
ただし、買っていないというのは、以前の新興市場株ブームのときと比べて買いが少ない、そういう意味です。
では、売っているのはファンドなどの換金売り?結局、それはいつもわからないのですが・・・そんなような気がします。

ジャスダック証券取引所が毎週、信用取引の残高を発表しています。買い残や売り残を株数ベースと金額ベースで公表しています。
買い残の増加は将来の売り要因。上昇を続けている間はいいのですが、下がりだすと評価損になりますので、投げ売りが増えて相場が崩れる。今の相場でもそのような売りは確かに一部出ています。逆に、売り残が多くなると将来の潜在買い需要が大きくなります。
売り残よりも買い残のほうが常に多くて、買い残を売り残で割った取り組みをみて相場需給を図る方法もあります。取り組みが低いほど先高期待が高いと判断できます。
日経ジャスダック平均が安値を付けたのは3月12日ですので、3月の第2週になります。その時の買い残は273億円、売り残は24億円、取り組みは11.2倍。買い残はリーマン・ショック前の9月前半は500億円程度あって、その後の急落で280億円程度まで下がったあとの話です。
そして、3月安値から上昇して最初の高値を付けた7月の第1週の買い残は332億円、売り残は45億円、取り組み7.2倍まで低下しています。
買い残はその傾向として株価が上昇中でも中盤以降から増えてくるものです。やはり、今回も増えたのは6月頃からですが、株価が上昇したわりにはそんなに増えていない。
そして、冒頭にも指摘いたしました急落後の7月の第3週の買い残は323億円、売り残は54億円に膨らみ、取り組みは5.9倍まで低下。8月31日の高値まで急速に切り返す(上昇する)結果となりました。
買い残が一番膨らむのは、だいたい2番天井を付けるときです。今回も8月最終週の高値のときは買い残は439億円、売り残は36億円、取り組み7.2倍。二番天井を付けた9月2週の高値のときは買い残は449億円、売り残は34億円、取り組み13倍程度でした。でも、買い残は449億円程度ですから、これだけ相場が上昇した割には全然増えていない。上昇過程ではさほど買っていないということです。以前の新興市場株ブームのような全員参加的な勢いはない。

足元、先週末11月13日時点では買い残は410億円、売り残は54億円、取り組み7.5倍まで低下しています。買い残は410億円でほとんど減少していません。今週分で減りが目立っているかもしれませんが、材料株を含めてもそう、これだけ下がっているわりに減りが鈍い。買ってないものは減るわけがないのです。一方、売り残は50億円を超えてきました。空売りをする人が増えてきたことを示します。今週末分が発表される来週、さらに売り残が増えているかどうか?目先狙いの売り残だけが目立つようになってくれば、意外と急反発の可能性もあるということです。買い残はさすがに減りが目立っているかもしれませんが、売り残も増えていれば、取り組みはさらに拮抗します。値ごろ感的には、もういいんじゃないでしょうか。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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